6月4日をもちまして舞台『フィクション・モテギモテオ2023』全7公演、終了致しました。
ご来場くださいました皆さま、ありがとうございました。

ライオン・パーマ第34回公演『フィクション・モテギモテオ2023』
私がライオン・パーマに出演するのは今回で4作品目だったのですが、これまでの作品稽古場で何度となくタイトルを耳にしていたのが、こちらの初演作品でした。
再演&赤坂RED/THEATERと聞いてワクワクが膨らみ、携わることが出来る喜びも束の間、さてどうしよう、から始まった今期の稽古。

役名は、瞳。
瞳、または瞳さんと呼ばれるその人は、あまり本心を明かさない人。
作品の根幹に関わる話をしてしまうと、つまりは劇中劇内劇…みたいな状況で作り上げられた情報でも
【警戒心が強く、情報はない】
…これだけという鉄壁の警戒心設定。
(撮影・酒井こうへい)

物語のラスト、モテギモテオゲーム終了から続行に至るまでの短時間を仮に本当の現実とするならば、瞳は劇中一度も本来の姿ではなかった=プロ中のプロを貫いていたわけで、そうなると【瞳】という名前すら本名ではないのかもしれません。

彼女にとって演じる必要のない現実は、この世界のまた一つ外側か隣か裏に存在していたかもしれないのです。

とはいえ、疑似の世界の竜宮城=RGJダンス練習で疲れた身体も、アルファモテオに乗り込んでから見た景色も、瞳にとっては事実として、実感を伴って思い出に残っていくわけで…。

このモテギモテオワールドの現実と疑似のぐるぐるに、私も稽古中から囚われ始めていたのは紛れもない事実です。笑


とあるお客さまからいただいたご感想に
「マトリョーシカみたいに疑似と現実が入れ子になっているような不思議な感覚でした!」
という言葉があって、なるほどなと思いました。
開けてみるまで正体が分からず、見えたところで、大きさは違えど姿形はほぼ同じ。
疑似の中に現実があって、その中に疑似があって、その中には……。
世にも奇妙な…においがしますね。

やはり、この作品はコメディーでサスペンスでありました。



ここからはオフショットを公開☆
初演で瞳を演じていた春木彩香ちゃん。

ライパに欠かせないスタッフの一人でもあるあやちゃん。
小道具/孤道具、撮影助手担当として今回も大活躍でした。

Twitterでは車のハンドルもアップされていたのでご覧になった方も多いかと思うのですが、こちらでは【瞳専用の首輪】をご紹介します。
薄暗い小道具置き場で撮影したら、より雰囲気が…。
重くなく、苦しくなく、痛くない!
とっても優しい首輪を作ってくれました。笑

こだわりのクオリティは勿論のこと、遊び心と使う人への気遣い100%の小道具を創り出してくれるので、あやちゃんの小道具に対面出来る日はいつも楽しみでもあります。 

今回は首輪の他に【瞳専用のスマートフォン】も用意してくれました。
お客さまにはそこまではっきり見えなかったかもしれませんが、私の中で瞳は白のスマートフォンを持っているイメージだったので、白で用意したよと聞いた時、相談せずとも通じていた!と嬉しくなりました。

あとは【ハンカチ】。
これだけは、唯一、初演の瞳から受け継いだものでした!
ピンク系でネコちゃん柄のハンカチ。
瞳はネコ好きなのかも!
………いや…そういう設定にしているだけなのかもしれませんが。笑

初演の瞳さん、いや、瞳さんよりも瞳ちゃんの方がしっくりくる気がするので瞳ちゃんにします。
瞳ちゃんは、さっぱりしているというか、スイッチのオン・オフがはっきりしていて、立ち姿はスッとしていて直線的。
RGJは全力ノリノリでそのギャップが清々しいまでに魅力的で、ほぼストレートの黒髪が美しく、目の綺麗な女のコでした。

影響されちゃうかな、と思って初めは初演の映像を見ることを遠慮していたのですが、RGJ を研究する流れで結局全編を見ることに。
そこには、私には決してなれない瞳ちゃんがいました。
だから、ある意味割り切れたところはあります。
そして、所々秘かに受け継いで演じよう、と。
とはいっても、初めの頃小道具としてあやちゃんが出入りしている時の稽古は緊張したものです。
最早体感としては遠い話ですけれどね。笑

合コン女子3人組。
左は久美役の斉藤優紀さん、右は香世役の岡本夏穂ちゃん。
この並びは完全にトリコロール。笑

優紀さんとは4度目の共演にして、初めてがっつり同じチーム(シーン毎に稽古をするので、そこに必要なキャストは一つのチームとして扱われることが多いのです。笑)になれました。
毎回ライパでは優紀さんと一緒なの心強過ぎる。
好きー☆

アキコ役の兼平由佳理さんも一緒に、ドレスで並んだ時のポーズ(私服バージョン)で!
アキコさん、こんな時でも決してお盆を手放さないのですね。笑

兼平さんと一緒と言えば、こちら!
赤ジャージなアキコと瞳。
通称、芋ジャーコンビ!
もうねーー。
一緒にRGJが出来て楽しかったよ、兼平さん!笑
ある日、主宰のチャーさんから2人呼び出され、こちらのシーンがあることを告げられました。
その週から早速練習が始まって、同じ場所に打ち身を作りながら試行錯誤の連続。
RGJのスピード感とハードさに加え、身長の小さな私と組むことになった兼平さんはとっても大変だったはずです。
それなのに、いつも「さとちゃん怪我してない?」「大丈夫?」とお気遣いいただいて、本当に感謝しています。
こちらのシーンを演じた初演のお二方へのリスペクトもあって、「私ずっとコレやりたかったんです!夢が叶いました!」と笑顔で仰っていた姿は少女のようでした☆

体育会系のノリで汗だくになって稽古をした、ひとときの青春みたいな時間。
兼平さんと一緒で良かった!

必死に駆けずり回る珍しい私をお見せできたかなと思います。笑
お客さまの反応が嬉しかったシーンの一つです。
ありがとうございました。


続いて、楽屋の鏡前で毎日一緒に過ごした2人。
キャシー役のkikiさんと夏穂ちゃん。

kikiさんはクールで穏やかに見守ってくれる、安心感の人でした。
でも、いつもはキレキレに動いて殺陣まで熟してしまう役者さんというから驚き!
どこからか「キャシー!」と聞こえると全身でビクッと反応しちゃうところと、あったかいもずくスープを飲みながらほっこり微笑んでいるところと、ツボに入った時にキャッキャッと笑う姿がとても可愛らしくてね。
あと、よく一緒にお酒の話をしました。
打ち上げの後、最後まで一緒に帰ったのもkikiさん。
へへ。笑

夏穂ちゃんは今回の座組最年少。
香世の「ヒューーーーードッカーン」は、合コンメンバー全員の笑いを誘う恐ろしい爆弾台詞で、最後までみんな苦しめられました。笑
ちょっとおとぼけな部分もあってお世話を焼きたくなっちゃう魅力と、くるくる変わる表情が可愛らしくて、目が離せない存在!
小屋入りしてから何かと互いに相談・解決してきたのは夏穂ちゃんだったと思うのですが、もしかしたら、逆にめちゃめちゃお世話になっていた説、あるかもしれません…。笑
ありがとね、夏穂ちゃん♪


一人では創り上げることのできない舞台。
現実の世界も疑似の世界も、決して一人では成り立ちません。
現実のような疑似のような現実のような世界で、今回も舞台に立たせていただいたこと、感謝しています。
お芝居は、現実と疑似のマトリョーシカなのだと思います。
劇場の、舞台の上に、疑似の世界を創り上げ、そこで起こることは現実になり得る…常にその狭間で意識的に体と心を動かして生きているのが役者、なのかもしれません。

ご来場いただきました全てのお客さま、そして、この舞台を一緒に創り上げてくださった全ての関係者の皆さまにお礼申し上げます。

ありがとうございました。





それではこのへんで。
またのお越しをお待ちしています…。笑

ホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッ。
(撮影・酒井こうへい)