6月12日。

舞台『瀬沼さんのことを何も知らない』全7公演が終了致しました。

ご来場くださいましたすべての皆さまに感謝申し上げます。

 

この作品の前段階『瀬沼さんのことを誰も知らない』からのスタートを考えると、一番最初の関わりは昨年の12月、寒い中でのYouTubeCM撮影でした。

そこから半年。

中止・延期を経て、無事に上演、こうしてお客さまの元にお届けすることが出来て嬉しかったです。



今回の役は月子という女性でした。

別名は山田花子、本名は…わかりません。

重大な犯罪を犯して、逃げながら生きている人。

名前を変え、夜のお仕事をしながら、心を開かず、平凡を装って田舎町で暮らしている女。

劇中で詳しい過去が語られることは無く、謎は謎のまま、彼女は、月子は去っていきました。

いつもなら舞台が終わると役の心情をちょっぴり吐露したりもするのですが…。

今回はこのような作品の雰囲気もあり、ミステリアスな感じを残しておこうかと思っております。

観てくださった皆さんの抱いた月子の印象は、どうかそのままで…。

 


さて。

内側は秘するとして。

外側はどこかで公開されていくと思われますので、振り返ってみますね☆

(この作品は見所となる場面が山程あって、私も好きなシーンがいっぱいあるのですが、何せ膨大なデータ量になってしまうので…ここでは月子の出番を中心にご紹介します。)


まずは冒頭のこちら《恐怖・漫々亭の真ん中の席》から。

「出勤前にラーメンですか?」

第一声。

そうです。

コレ、『真・恋愛漫画』でのラーメン屋シーンでも怜夜(私)の台詞でした。

まさか、怜夜が月子になって戻ってくるとは思わなかったなー。


真ん中の席を退かない男=瀬沼さん。
客席からの悲鳴がリアルでした(笑)

 

序盤のピンクムーン《白川店長ご来店&月子指名》シーン。

ワインカラーのドレス。
実は、作・演出・出演の加藤さん(チャーさん)から最初に伺ったドレスの希望カラーは赤でした。
こうして見ると照明効果で大分赤寄りになっていますね。

「お客様からのタッチはいかなることがあっても許されておりません。」

…この図、面白いですね。
ここだけ見たら謎の手繋ぎ(笑)

「お客様からのプレゼントはいかなるものに関しても一旦お預かりさせていただいております。」

ある意味健全なお店です。
そんな勢いよく奪わなくてもと思うほどに真剣な店長(矢島・写真左)と、その上手をいく店長さん(白川)。
店長さんと言えば、呼び方が色々あって稽古中は混乱しました。
でも、ちゃんと使い分け、時には演じ分けているところが月子の腕…というか、女の怖さかもしれない…(笑)

小道具写真も紹介!
淳の履歴書。
舞台となっている町は山形県だったようです。
あとね。
実は物語上矛盾している点を見つけたのですが、観劇してくださった皆さん、分かりますか?

こちらはメロンパンの整理券。
月子が受け取ったのは77番。
縁起の良さそうな番号なのにね。
まさか、あんなことに巻き込まれるなんて(笑)

続いて、《メロンパンを売る中年》から。

念願のメロンパン屋シーン初参戦ー!
行列に並べました(笑)

『私たちは全力でホラーに挑みます』の時とはまた違った展開でしたが、こことラーメン屋のシーンは以前ライパを観に来てくださったお客さまの記憶にも強く残っていたようで、感想も色々いただきました。


ルイ・シャルルのメロンパン極MAX。
願わくば手に取りたかったよーー!!


戻って。

「(……えっ…?待って?どういう…こと?この人、一体…?) 」 

瀬沼さんが分からない…。

「でしたら、私、一個で…。」
「いやいやいや!」

真面目でいいヤツ・淳さんでした。
みんな感激。

優しい淳さんに拍手。

あ…れ…?

「敦だ……淳じゃない……こいつ敦だ!!!」

敦の登場で翻弄される町の人たち。

謎が深まる瀬沼さん。
喫茶店にて、話題は30年前の未解決事件に……。

このシーン好きだったなー。
月子の転換点でもありました。
 

中盤のピンクムーン《マスターご来店》シーン。

深いグリーンのチャイナ風ドレス。

お借りしたものなのですが、可愛くて好きでしたー☆


右からタクシードライバー・コウジ、喫茶店マスター・松田、スーパーの店長・白川。

それぞれの職業だからこそ展開する会話ネタでしたね。


続いて、海辺のシーン。

月子の過去が垣間見える重要な場面。
舞台全体がこのような光と色になっていたのですね。

「店長…今日で辞めさせていただきます。」


終盤のピンクムーン《月子と瀬沼》のシーン。

「月子です。よろしくお願いします。」
「瀬沼……です。」

最後の接客に選んだドレスは、ネイビーレースの正統派ドレスでした。

「私、今夜で最後なんだ。」

30年間鉄壁防御の瀬沼さんに、一歩攻め込んだ月子の図。

「(おいしくなーれ…)」

↑ただの水、否、美味しい水(ミネラルウォーター)を用意中。

瀬沼さんの表情よ……。


最後はエピローグ《それぞれの景色》から。

少しかっちりした正装風。

ひとつの区切り、節目、守り。

さようなら。

もう二度と会うことはないでしょう…。

何度そういう別れを経験してきたのか。

どれほどの痛い想いを、辛さを、ひとり抱えて生きているのか。

苦しい人生ですね…。

 

以上、衣装の七変化も合わせてお送りしました。



ワイワイ系の記念写真も残したかったのですが、今回はそんな時間も余裕も無く過ぎてしまいました。

ん~。

いや。

本当のところを言うと、みんなのワイワイを眺める距離感がちょうど良かったのかもしれません。


それにしても、どのキャラクターも可愛らしくて、人間らしくて、応援をしたくなってしまう、そんなイイ人の多い町でした。

私だけでなく、お客さまからもそういったお声を沢山いただきましたから、瀬沼さんを筆頭にみんなが愛されていたのだと思います。

みんなを好きになればなるほど、旅立ち後は寂しくてね…。

もう一度幕が開けば、そこにまたみんながいるっていうのは、ちょっと夢みたいだなって思った瞬間もありました(笑)


でもね。

幕が閉じたらそれも終わり。


月子が向かう先は、どっか遠く。

きっとまたそこで一から、名前を変えて、生きていくことでしょう。

でも、瀬沼さんという生き方を選んだ人のことを、月子はずっと忘れないと思います。




月子に出会わせてくださった主宰のチャーさん。

お世話になりましたスタッフ・キャストの皆々さま。

応援してくださいました皆さまとご来場くださいました沢山のお客さま。


本当にありがとうございました。





最後に取って置きの一枚を…☆

劇場に入ってからの競歩大会シーン稽古中。
舞台裏を競歩のスピードで歩く瀬沼さん。
歩いているのは劇中の瀬沼さんです。
でも稽古着を着ているので、役者の瀬沼さんとも言えます。

この写真を見せた時、瀬沼さんがほぼウィスパーで呟いた一言。

「…ぅぉぉ……カッコイイ………」

この時の瀬沼さんが、多分、本当の瀬沼さん、だったのだと思います(笑)





舞台『瀬沼さんのことを何も知らない』これにて終幕!


最後までご覧いただき、ありがとうございました。