桜の花びらが散り乱れた一角で、控えめに開かれている門を見つけたので立寄ってみた。
裏門だったのか、こじんまりとした石段を十数段上がると参道に出た。
お寺だった。
お参りをした後、立派な桜の木を見上げて、花を眺めた。
鐘楼を背景にはらはらと花びらが散る様子は、なんとも趣のある画だった。

用事を済ませた帰り、行きとは違う道を選んで歩いてみることに。
小学校の前を通った時、突然帽子を吹き飛ばすような強い風が起こった。
私の足元を、我先にと競走する子どもたちのように、花びらたちがざざーっと駆けていき、かと思えば、止めた!あっち行こう!と一斉にこちらへぶわーっと引き返してきた。
気紛れな風と遊んでいるみたい……に見えたのは、3人組の男の子たちがじゃれながら走っていったのを見た直後だったからか。

静と動。
優しいさくら色の光景に、感傷を覚えた春なのでした。