本日、外交防衛員会で以下の事項について質問・議論を行った。

 

 

①イスラエル情勢について
中東におけるバランス外交では、関係国の顔色を伺う日和見的外交ではなく、日本自ら重心を設定して自らバランスを作り出していくことが肝要と考える。そして今般のイスラエル情勢における重心は、イスラエルでもハマスでもなく、ガザ市民の命を守る人道支援と戦火の不拡大に置くことが大事で、色がついていない日本だからこそリードできる分野である。
そのために佐藤は、人道支援のための「海上回廊」をガザ沖に設定することを提案した。海上は陸上よりも安全が確保しやすく、大型船による人道支援物資の運搬や避難民の脱出、各国海軍の病院船などによる医療支援が可能となる。
日本も、国際機関からの要請を受けた場合、PKO法に基づき、「国際的な人道救援活動」として医療設備が充実した海上自衛隊の輸送艦等を派遣し、人道支援に貢献できる。あとは政府の意思決定次第だ。
また、戦火の不拡大については、フーシー派やヒズボラ等に影響力のあるイランへの上川外務大臣等派遣を提案した。米国は戦火不拡大の為に、空母派遣を出来ても国務長官は派遣できない。しかし、日本の外務大臣はイランを訪問できる。
日本は中東情勢では比較的中立の立場であり、イランは親日国でもある。この状況を利用し、戦争を収束に導くための不断の努力を外務大臣に要望した。

 

最後に、イスラエルによるガザ地区の再占領に対する政府の見解を質した。
現状では、「イスラエルは自衛権を行使してガザ地区での地上作戦を遂行し、その際には国際法に基づき行動している」としている。しかし、その結果としてイスラエルがガザ地区を再占領してしまうと、法の支配に基づく国際秩序を乱して力による現状変更をしたことになり、もしもその結果を認めれば、ロシアのウクライナ侵攻を許すことにつながってしまう。ハマスの軍事力壊滅とガザ地区再占領とは別だ。政府にはイスラエルのガザ地区再占領に対して明確に反対を表明するように求めた。

 

 

②日本の防衛上の問題点

現役自衛官の給与体系の見直しが始まったが、予備自衛官のそれについては着手されていない。
しかも予備自衛官の手当は、この36年間、1円も上がっていない。さらに悲しいことに、予備自衛官補が努力を重ねて予備自衛官に昇任すると、受け取る手当は昇任前よりも低額になってしまう。
これで予備自衛官になってくれという方が無理であり、早急な見直しを防衛省に求めた。
また、市ヶ谷地区勤務の自衛隊員の個人用防護装備の不十分さについても言及した。日本の防衛の中枢である市ヶ谷地区では、個人用のヘルメットや防弾チョッキ、ガスマスク等を支給されていない部隊・機関がある。このような状況で、市ヶ谷地区がミサイル等で攻撃されたと想定したら、冷汗が出てくる。
人命に軽重なし。防衛大臣以下、新設の統合司令部も含めた市ヶ谷地区の全部隊・機関の全隊員に個人用防護装備が行き渡るよう、防衛大臣に求めた。

 

 

③核抑止力について

中国が急速に核戦力を増強しつつあり、また、北朝鮮は核・ミサイル開発を継続して弾道ミサイル潜水艦の建造まで行っている。さらにロシアは包括的核実験禁止条約(CTBT))の批准を11月2日に撤回した。もはや世界全体の核戦力のバランスが崩れてきていると言わざるを得ない。
この状況下、米国の核の傘(拡大抑止力)に依拠している日本としては、核戦力バランスの安定のために米国に拡大抑止力の増強を求めるべきであると政府に申し上げた。
一方、自分の国は自分で守るという大原則のもと、通常兵力による防衛力の抜本的強化、特に反撃能力の強化を進めることも忘れてはならない。
ともに強化された日本の防衛力と米国の拡大抑止力は、日本を守る双璧である。

 

 

この秋以降、外交・安全保障関連の問題が急速にエスカレートしている観がある。
国民の生命・財産を守り、国の平和と独立を保持するためには、その時々の状況に応じて常に考えを巡らさなければならないことを肝に銘じ、今後も公務・政務に邁進していく。