本日、外交防衛委員会で質問に立ちました。佐藤の質問内容は次の通りです。
①スーダンにおける邦人保護および退避について
②日豪および日英間の防衛協力に関する円滑化協定について
③日本有事における防衛装備の移転について
④北朝鮮の偵察衛星打上げについて

 

本日未明、空自のC-2輸送機により41名の邦人と家族4名がジブチに無事退避した。
また、仏や国際赤十字の協力により邦人10名と家族3名がスーダンから退避できた。この協力は非常にありがたいが、逆に日本が他国の民間人の退避を積極的に支援する方途もある。外務省に確認したが、各国にポートスーダンからの空自機での退避希望の有無を照会したものの今回は搭乗希望はなかったとのこと。各国の退避作業が順調な証であるが、困った時はお互い様、今後もこの姿勢は保持すべきである。
また、ジブチの活動拠点に邦人保護に必要な装備(輸送防護車など)や航空機部品等を事前集積し、政情不安定な国が多いアフリカ・中東地域における邦人保護の機能強化を図るよう政府に進言した。

 

日豪および日英間の防衛協力の円滑化協定に関しては、受入国での隊員の身分保障について質問した。
具体例を挙げると、派遣先での公務中に交通事故を起こして現地の方を死傷させてしまったような場合の当該隊員の扱いについてである。当協定により、日本の刑法には国外犯を裁く規定がないので、派遣自衛官は受入国の裁判権に服することになる。
勿論、そのような事態が起きないように事前の教育訓練を徹底するのは大前提だが、万が一の場合に当該隊員が適切に扱われるよう、政府には今後の努力や法制度での工夫を要望した。
また、円滑化協定がない仏軍等が日本で訓練する際、兵士の身分保障を担保する為、文書(MOUやTOR等)で明確化しているが、自衛隊が米国で訓練する際の身分保証を担保する文書交換はしていないとの政府答弁だった。

海外へ派遣される隊員の身分保障は、各国との防衛協力が深化する中で等閑に付すことはできない重要な課題である。

 

防衛装備移転に関しては、日本有事の際に来援する外国軍への武器・弾薬の提供について質問した。
政府は現行の国内法で来援軍への装備移転は不可能となっているがこれは緩和すべきだ。時代にそぐわない。また日本有事の来援軍への装備移転の「武器」と海外装備移転の「武器」の定義が一様ではないため一般には何が「武器」なのか理解しづらく、また、平和安全法制策定時の5党合意で弾薬供与もかなり抑制的なものとなっている。そのため、日本有事の際に来援した外国軍には小銃1丁も、携帯対空ミサイルも簡単に提供できない状況にある。

防衛上のニーズに合った法と制度の整備は、日本を取り巻く現在の安全保障環境を考えると喫緊の課題である。

 

最後に、北朝鮮が進めている偵察衛星(事実上の弾道ミサイル)の打上げに対する破壊準備態勢について質問した。
現在、空自のPACー3部隊を石垣市や与那国島に展開させているが、多良間村がPAC-3の射程から外れており、破壊準備態勢に穴が開いてしまっている。前回の偵察衛星打上げの際にも多良間村にはPAC-3による迎撃の傘は提供されず、時の民主党政権は見当外れな対応で批判を浴びた。
多良間村の港は浅く、海自の大型輸送艦でのPAC-3の輸送はできないが、喫水が浅い民間フェリーを活用すれば輸送可能である。防衛省は「今後調整する」と返答したが、迅速な対応を望みたい。

 

安全保障環境は刻一刻と変化していくものであり、近年はとくに変化の度合いが加速している。その時々で起こりうる事態、防衛上のニーズを的確に抽出し、それに対応できる法律や制度を整備していくことは、政治家の重要な使命である。

今後とも日本を守る方策について、絶えず思いを巡らせていく所存である。