外交部会・文部科学部会・外交調査会・文化立国調査会・日本の名誉と信頼を確立するための特命委員会合同会議が開催され、「佐渡島の金山」推薦書暫定版のユネスコへの提出について議論した。

「佐渡島の金山」の世界遺産登録申請については、登録する中身や説明を整える事も重要ではあるが、それ以上に外交努力が必要になるだろう。特に、現在の世界遺産委員会の議長国はロシアであることと、来年の秋に世界遺産委員会の委員国に韓国が入る可能性があることから、ロシアファクターと韓国ファクターへの対処が重要となってくる。

今回の世界遺産登録にロシア自身も申請中であることから、ロシアの登録を進めるべく議長国に居座り続けようとすることは容易に想像できる。嫌がらせの天才であるロシアは、他を蹴落として登録を勝ち取るために「佐渡島の金山」の登録に関して反対してくるだろう。これには、日本だけで対処するのではなく、例えば今年と来年に登録を申請する国々とタッグを組んでロシアを議長国から下ろすといった外交努力をすべきである。
また、現状開催の見込みのない世界遺産委員会が2023年も開催されない場合、「明治日本の産業革命遺産」に関する勧告対応が2024年まで延長することとなり、「佐渡島の金山」の登録審議と同時期になってしまう。この場合、韓国が「明治日本の産業革命遺産」の保全状況報告に抵抗するだけでなく、「佐渡島の金山」についても同列に取り扱って謂れのない批判を繰り返し登録に反対するだろう。このようなケースは我々にとって避けるべきであり、世界遺産委員会を早期に開催すべく働きかける必要がある。

世界遺産の中身が良くても外交努力不足で登録されないとなれば、佐渡金山の保存に努力してきた佐渡の国民にとっても不幸である。本件は、文化庁だけに取り組ませるのではなく、政治サイドも本腰を入れて取り組むべき案件である。