外交部会・外交調査会の合同会議が開催された。

・デジタル庁は、マイナンバー普及のために広報活動でTIKTOKを使っているが、この件は、省庁間で事前に協議されているのか。
河野大臣は記者会見で、中身がマイナンバー啓発のことであり機密にあたる内容ではないから問題ないと言っていたが、問題の本質はそこではない。
TIKTOKアプリを通じてブラウザの操作情報や入力情報を収集している可能性は否定できず、その情報は中国本土に送られる。Twitter社にも中国の工作員がいたと報道されている中、中国企業が運営するTIKTOKを使えば中国に情報が抜かれるのは言わずもがなである。それを日本政府が公式で使うことの是非は、政府内で議論したのか。
アメリカの連邦通信委員会(FCC)は、利用者の個人情報が中国に漏えいするおそれがあることから、アップルやグーグルのアプリストアからTIKTOKを削除するよう両社へ要請した。今回、日本政府は真逆の動きをしようとしている。日本政府がTIKTOKアプリの使用を推進し、政府関係者等のスマートフォンからアプリを通じて秘密が漏れてしまったら、二国間の問題にもなりうる。外務省担当者も問題認識を有していたが、事前にデジタル庁から調整があったかは即答できず調べてみるとの答弁だった。
政府は、安全保障やセキュリティを考慮に入れて各種政策を進めるべきである。
日本の重要な個人情報は既に多く流出していると言われているが、それを日本政府が後押しするようなことがあってはならない。

・多国間経済枠組み(IPEF)については、日本政府としてアメリカのTPP参加を強く要望し続けるのが前提であるが、IPEFの枠組みもうまく活用しないと中国に対抗できない。
しかしながら、現状のIPEFは交渉開始を合意した段階であり、途中で離脱することも可能であるし、交渉の中身が骨抜きになる可能性もある。
そのため、今後は12ヵ国の参加を確定させられるかが重要となるが、その一方で、12ヵ国にとってはアメリカが市場開放しなければほとんど魅力が無いのだ。サポートすると言った日本政府としては、どうやって魅力を演出するかが検討課題となるだろう。
例えば日本にとって一番魅力的なのはサプライチェーンに関する取り組みであると佐藤は考えている。経済安全保障の4分野、半導体、レアアース、蓄電池、医療資材について、多くの国が中国に依存しているのが現状であるが、いざという時にお互いに支えあうことができるのならば非常にメリットがある。
IPEFの枠組みを日本にとっても身のあるものにするため、いかに魅力化してより多くの国々を引き込むかが重要であり、政府には知恵を絞るとともに汗をかいてもらいたい。

・パラオの国会議事堂と大統領官邸の前に韓国が建てた慰霊碑がある。中身はなんと“戦前に韓国人が日本陸軍により強制連行され酷使され韓国女性は強制的に接待されられた”という事実無根の碑文であった。向こうの韓国財団が建立したとなっているが、外務省は碑文の修正について進めているのか。
パラオは日本にとって重要な国であり、良好な関係を維持するためにも、この件はきちんと対応しなければならない。

・国葬について総理は、説明が不十分であったことについては謙虚に受け止め丁寧な説明で国民の信頼回復に努めるとしているが、これは外務省としても同様であろう。
政府の説明では、約190の国が参加し約50ヵ国の首脳が来ると見積もられているとのことであった。一方で、マスコミは国連のハイレベルウィークにかぶっているため参加者が少なくなる可能性があるとの報道がされている。これが事実でないならば、それを打ち消さなければならない。
国民に間違った認識を与えないよう、外務省は事実を情報発信する必要がある。