今朝の外交部会では、林外務大臣のG7外相会合(ドイツ)出席、国際的な人の往来に関する措置(水際対策)、我が国EEZにおける外国船舶の航行についての3つの議題について議論した。

 

昨晩、韓国国営企業が今月前半に、島根県・竹島南方の日本のEEZ内で無許可の海洋調査を行った疑いについてのニュースが流れた。佐藤自身も外務省と海上保安庁に対して急遽説明を求めたところ、5月9~12日の4日間、韓国国営企業から委託を受けたノルウェー船籍の調査船が、竹島から約85キロ南方の日本のEEZ内で、船尾からケーブルを水中に垂らして航行したとの報告があった。海上保安庁からは、現場では巡視船が「わが国EEZ内の無許可調査は認められない」と注意喚起。外務省からの説明では、実際に調査が行われたかどうかは現場で断定できず、政府ルートで韓国政府に確認したものの、「確認できていない」という回答であったため、本件の公表を見送っていたということであった。

 

佐藤より、調査船が活動したのは、まさに尹氏が新大統領に就任し、日本からは就任式に出席するため林外務大臣が総理特使として総理親書を携えて訪韓中であったタイミングであり、これは岸田総理の顔におもいっきり泥を塗られたといっても過言ではない事案で、許しがたい行為であると述べた。また、韓国側に事実関係を問い合わせた際に、「確認できていない」と韓国政府から回答があったとの説明で終わらせる話ではなく、我が国主権にかかわる事項であり、確認できるまで確認すべきであると外務省には強く申し入れた。なお、今回、調査船が活動した海域に近い日本のEEZ内では、今月5日、石油・天然ガス開発の「INPEX」が天然ガスなどの商業生産化を調査する試掘を開始したばかりであり、国内でのエネルギーの安定調達など海洋権益の確保に向けた極めて重要な海域である。また、我が国が海洋安全保障面で周辺国につけ込まれる隙を与えかねないことが起きているなか、先週の11日には外交部会が開催されたにも関わらず、政府側が事案自体を報告していなかったことは大きな問題であり、政府と自民党間の信頼関係を損ねさせないよう、改善を強く求めた。韓国が新政権に向けての移行の時期であるからといって、日本が静かにしないといけないというのはおかしな話であり、我が国として、毅然とした対応が求められる。

 

水際対策については内閣官房や厚労省等より、岸田総理からの水際対策緩和にかかる表明を受けて、連休明けの感染状況を十分確認の上、今週後半に専門家の意見を聞いて判断していくこと、また、観光客の受け入れについては実証実践を近々行う予定であるとの説明があった。佐藤より、世界でも我が国の水際対策は厳しく、G7のなかでも日本のみが出国前と入国時に検査を求め、陰性であった者に対して指定された待機期間に自宅・ホテル等での待機を要請している状況であること、また、現在感染が増加し空港検疫では新たな変異株が検出されている状況ではあるものの、経済をまわしていく必要があるため、例えば、対象国の感染者数の大小、対象国の72時間前の検査の信頼性の高低、ブースター接種の有無、72時間前の陰性証明書の結果等の情報を基に、入国時の検査の免除あるいは待機の免除についても、組み合わせを考えながら検討していくことが必要になってくるのではないかと述べた。

 

また、観光客受入の課題として、現状、技能実習生や特定技能外国人の日本での病気や就業時間外の傷害事故をカバーする団体保険契約は、国際人材協力機構が用意し、監理団体・実習実施者や受入れ機関・登録支援機関が加入者となっている。仮に、技能実習生や特定技能外国人がコロナ陽性になった場合、同機構が保険でカバーするかたちとなっているが、今後日本に入ってくる外国人観光客がコロナ陽性となった場合、「2類相当」のままでは国民の税金で面倒を見ることとなる。観光客受け入れの「実証実験」では人数が限定されているため対応が可能だとしても、完全に緩和したときに医療保険をどのようなかたちで義務化していくかの検討も必要となる。また、コロナ陽性者との濃厚接触者に行動制限を求める一方、海外からは観光客がどんどん入ってくるのは、国民の理解を得るのも難しい側面がある。国内対応と水際対策のバランスをしっかり見極めながらの検討が必要となる。