今朝の関係部会合同会議では宮澤国防部会長、井林財務金融部会長、石川経済産業部会長も交えて、本日もウクライナ情勢について議論を行った。

 

ロシア軍の猛攻でウクライナ情勢が緊迫する中で、G7やEU諸国と共に苦境に立つウクライナの側に立って外交を展開することが今の日本外交にとって最も大事なことだ。しかし、いまの日本外交は腰が定まっていない。なぜならロシアへの制裁で関係国と歩調を合わせながらも、肝心のロシア機の日本領空通過禁止措置を政府として課してはいないからである。欧米諸国ではロシアの航空機の自国領空での飛行を禁止する動きが広がっているものの、未だ明確な方針を示せない日本。大事な局面で態度を明確にしないコウモリ外交は、国際社会で信頼を失う。いまはあらゆる制裁を駆使しながら一人でも多くのウクライナ人の命を救うことが、日本外交として取り組む最優先課題である。

 

そして台湾海峡や尖閣諸島での危機が現実と化した時に、欧州諸国が真剣に受け止めてくれるかどうかは、いま日本がどれだけウクライナ人を助けるために汗をかいているかどうかだ。従ってキエフを巡る攻防が激しさを増す中で、ウクライナを支える意味でも日本は立場を明確にすべきだ。それが回り回って、中国が尖閣に手を出したら米国だけではなく、英仏等欧州諸国が強い制裁を課してくるかもしれないと相手に思わせる強い作用が働くのである。今朝の冒頭挨拶でもこの点を強調して、言行不一致は恥ずべき外交だと佐藤は発言をした。政府の決断に大いに期待したい。

 

さて、本日の部会では農林水産省にも食料安全保障の観点から説明を求めた。ウクライナは「欧州のパンかご」、「世界の食料庫」と呼ばれる穀物の大産地であるが、貿易面では日本との関係は極めて限定的だ。輸入全体の0.4%ほどで、主にたばこ、製材、羽毛から成る。ベラルーシも同様で、全体から見れば微々たるものである。ロシアの場合は、かに、さけ、ます、など海産物が多いものの、輸入全体では2%である。その意味で、現時点でこれらの国々との貿易関係が止まることにより日本で食糧危機が起きることは考えづらい。しかし、ウクライナ情勢が起点となって世界中のヒト・モノ・カネの動きが鈍化しているため予断は許さない。今後戦闘が長期化する場合は、世界の食糧流通が更に滞り日本国民の日常生活に影響が出ることも考えられる。そういった最悪のケースも想定しながら、ロシアの侵略を止め、かつ食料安全保障を図る二兎を追わねばならない。