今朝の外交部会・外交調査会合同会議では、以下の点を議論。

 

1、韓国大統領選挙について

2、北方領土及び竹島をめぐる表現ぶりについて

 

連日のウクライナ情勢報道の陰に隠れた形となったが、本日未明に韓国の新大統領が確定した。尹錫悦(ユン・ソギョル)前検事総長(61)は野党系候補として、文大統領の後継候補である李氏との戦いを得票率48.56%、李氏47.83%で接戦を制した。

 

既に岸田総理から祝意のメッセージが出されており、保守系の尹候補が当選したことに関係者から「複雑骨折」した日韓関係改善に向けて期待する声も上がる。しかし、保守政権が誕生したからといって過剰な期待は禁物だ。かつて、大阪生まれで保守的な李明博氏が大統領に当選した時にも同じような期待の声が聞こえたが、期待は裏切られ李大統領の竹島不法上陸に至った。今後政権が発足し当初の期待が薄れてくる頃に、外に敵を見いだす歴代政権の手法が繰り返されることも念頭に対韓外交を考えねばならない。従って、日韓関係は保守政権誕生で改善するはずとの夢想、思い込みは捨て、日本から安易に譲歩するなどの前のめりは絶対にいけない。日韓関係改善には、韓国側がまず対応することが前提との原則的立場を堅持するよう今後も外務省に主張していく。

 

2つめの議題として、北方領土及び竹島をめぐる表現ぶりについて議論した。領土問題をめぐっては、仮に同じ意味と解釈できても表現によって受ける印象は大きく異なる。今国会で岸田総理は野党議員からの質問に対して、北方領土を「固有の領土」と呼び、これまでの表現を修正した。林外務大臣の記者会見での「法的根拠を何ら有していないという意味で不法なもの」という発言は、外国語に訳すのが困難で冗長、分かりづらい表現だ。本来は不法占拠と明快に言い切るべきで、林外務大臣の表現では「不法占拠」という言葉の持つ意味は通じない。外務省の説明に寄れば、その時々の政治状況で表現は変わってきたという。同様に、竹島についても「不法占拠」や「法的根拠のない占拠」など表現が変化してきた。どちらの場合も、日本としては本来不法占拠であることを訴えるべき問題であり、日本側から相手に妥協していると見られかねない表現の後退は止めなければならない。表現の変更一つで、国内外での受け取られ方は大きく変化する。日本が領土問題に本気でないと見られたが最後、相手は日本の足下を見てくることを肝に銘じるべきだ。