本日の外交部会・外交調査会 合同会議では、以下の点について議論した。

 

1、ウクライナ情勢について 

2、金正日国防委員長誕生80周年関連行事について

 

2つの議題のうち金正日国防委員長誕生80周年関連行事について、現時点では特段政治的に注目すべき事項はないとの報告が政府からあり、例年の儀式としての色彩が強いようである。4月には金日成国家主席誕生110周年に当たるため、なんらかのメッセージが北朝鮮から発信されないかどうかの状況を注視する。

 

さて、ウクライナ情勢については日本も欧州諸国との会談を通じて、徐々に主体的な対応へと変化している。昨夜は岸田総理が、プーチン露大統領とウクライナ情勢を巡って電話会談を行った。岸田総理からは、力による一方的な現状変更ではなく外交交渉により関係国にとって受け入れられる解決方法を追求すべきとプーチン大統領に働きかけた、とのこと。その後にプーチン大統領からロシア側の立場が詳細に伝えられたようだが、その上で再度岸田総理が外交による解決を念押しする流れだったようだ。この首脳会談は、内容よりもリーダー同士の直接のやり取りの中で岸田総理が日本外交の立場を伝えることが重要であった。これまで出遅れていた日本のウクライナ危機への対応については、一歩前進だ。

 

16日にはG7議長国ドイツから、ミュンヘン安保会議に際してウクライナ情勢をテーマとするG7外相会合を19日にミュンヘンで開催することが発表された。そして、今夜にも林外相はミュンヘンに向けて日本を発つ。そこで大事になるのは、「今日のウクライナを明日の台湾にしてはならない」として、ウクライナ問題に日本は最優先で取り組む姿勢をG7諸国に強く焼き付けることだ。ウクライナ危機と台湾海峡危機は力による現状変更という観点から本質的に極めて同質の問題であることをG7諸国が理解し、かつ共有することは非常に重要だ。昨年の英国で開催されたG7サミットにおいて、菅前総理が独メルケル前首相を説得して首脳声明に「台湾」を明記したことに続き、脅威認識を持続させることが林外相に課せられた使命だと思う。同時に政府に求めたいのは、ウクライナ情勢と台湾海峡の動向を俯瞰的に注視し、分析することを怠らないことだ。それぞれが担当部署ごとに分かれるため、総合外交政策局がしっかりと日本外交の方向性と整合させる形で各部署との調整に当たってもらいたい。