昨日の外交部会・外交調査会合同会議において、もう一つの重要なテーマが日米豪印(通称クアッド)外相会合と日米韓による外相会合であった。クアッドによる外相会談では、本年前半に日本で開催予定のクアッド首脳会合に向けた地ならしの意味があった。外相会合においては共同声明を出し、自由で開かれたインド太平洋の重要性などを指摘した。一方で、中国を名指ししない形で「威圧的な経済慣行」などに言及し、クアッド加盟国それぞれの立場が一致しない部分については敢えて曖昧な表現に留めざるを得ない事情もあったようだ。実際に日米二国間の外相会談では「中国を巡る諸課題」という形で、対中姿勢を出している。従って、今後の課題としては日米間で協議し発表出来るレベルにまでクアッド会合の質を高めていくことになる。

クアッド外相会合終了後、舞台をハワイに移して日米韓による外相会合が行われた。主な議題は北朝鮮対応であった。北朝鮮による度重なる弾道ミサイル発射に対して3カ国が深刻な懸念を共有し、連携を重層的に進めていくとした。一方で、日韓外相会談では両国関係の重要性は双方で共有されているものの、日本側は旧朝鮮半島出身労働者やいわゆる慰安婦問題について、これまで通り韓国側が責任を持って対応すべきとして適切な対応を求めたという。しかし、韓国側の発言については部会で詳細は説明なく、実際には日本の公式発表とはかけ離れた国内発表が行われている。当然のことながら日本も韓国もそれぞれの国の立場で公式発表しているが、来月投開票で本日から始まった韓国大統領選と絡めて韓国側は自国に都合の良いことしか表に出していない。これは、世界遺産案件の「佐渡島の金山」についての見解でも同様である。だからこそ、具体的な成果が見えない中で敢えてこの時期の日韓外相会談を行う意味はあるのか、と佐藤は疑念を呈してきた。次回の部会では韓国側の国内報道についても確認し、歴史戦に向け準備をしていく。