本日の外交部会・外交調査会合同会議では、以下の事案について議論した。

 

1、北京五輪への要人参加状況について

 (外交的ボイコットについても含む)

2、北朝鮮によるミサイル発射について

3、ウクライナ国境周辺地域における露軍増強について

4、国際的な人の往来に関する措置(水際措置)について

 (「特段の事情」による入国についても含む)

5、在日米軍の感染状況及び最新の水際対策状況について

 

本日は以上のように5つのテーマついて議論したが、その中でも「北京五輪への要人参加状況」と「ウクライナ国境周辺地域における露軍増強」につい記述する。

 

今週4日(金)から始まる北京五輪については、日本人選手など大会関係者が続々と現地入りしている。現地入りした関係者は、北京2022組織委員会が開発したHMSという健康管理システムアプリを使用することが求められている。利用目的は毎日の健康情報管理や旅程の登録などと言われているが、実際にはチャットやホテル、タクシーの予約等多岐にわたる機能もその健康管理アプリにはついており、これらアプリを個人用スマホで使用した場合、当該本人の個人情報に留まらずそれに繋がる各人の個人情報が中国政府にとられる可能性がある指摘されている。そのため、大会関係者は日本で使用している電子機器を大会には持ち込まずに現地レンタルで対応する、或いは中国専用のものを日本で調達し、かつクレジット決済はしないなど、情報が盗み取られないよう万全の注意が必要である。しかし、日本オリンピック委員会として統一したルールを関係者に示しておらず、各自の判断に寄っているのが実態だ。みすみす情報の搾取を許してしまえば、日中の外交問題に発展する可能性も考えられる。パラリンピックはこれからであり、またオリンピックについても残された時間の中で可能な限りの対策をすべきである。

 

ウクライナ情勢について、引き続き現地は緊張状態が継続している。ロシアはウクライナとの東部国境に引き続き兵力を集結させている。そしてロシアは隣国のベラルーシとの間で10日から共同演習を計画しており、地域の緊張はますます高まる可能性がある。一方で米国を含めたNATO諸国は、これまでロシアによるウクライナ侵攻が発生した場合は軍事的手段を直接取ることなく対露経済制裁とウクライナへの武器供与等で対応するとしてきた。そしてここにきて、ウクライナ同様に対露脅威認識の高い東欧諸国の安全安心のために、米国をはじめ西欧諸国は軍の東欧諸国派遣を準備し始めた。

 このような中で日本はどうすべきか?経済制裁については、G7の中で具体的な表明をしていないのは日本だけだ。力による現状変更は絶対に許さないという姿勢を示さなければ、台湾海峡で事が起きたときに欧州諸国に中国の非道を訴える道理がなくなる。ダブルスタンダードと批判されることがなきよう、ウクライナ情勢を対岸の火事に終わらせてはならない。欧州諸国との外相会談を行うべきだ。

 最後に、日本政府は現在約180人在住していると言われている邦人の出国を、引き続き勧めている。邦人を救出しなければならない状況に陥る前に、商用便で自主的にウクライナを出国してもらうことが基本方針だ。昨夏のカブール陥落後の惨事を繰り返さないよう、地域の軍事動向と邦人の置かれている状況を注視し早め早めの対応を求めていく。