本日、国防議連を開催し、中国の国家戦略である「軍民融合」に関して、中国問題グローバル研究所所長の遠藤誉氏にオンラインにおいてご講演をいただいた。

 

 中国共産党は、中華人民共和国誕生100周年の2049年までに中国を偉大な国とし、米国に負けない経済力・軍事力を蓄えようとしている。その目標を達成するための手段として、2015年以来、中国は「軍民融合」を明確に戦略の位置につけている。軍民融合の下では、アカデミアの科学技術・民間技術の分野に軍が入り込み、あらゆる面で軍事技術を向上させようとしている。

 

 この戦略を実行するにあたって中国が最も重視にしているのは産官学軍の連携、それをリードするのが習近平主席が主任を努める軍民融合発展委員会だ。優れた技術を持つ企業は軍が支援する。そして、中国の学術機関や民間企業は日本企業の先端技術を吸収した上で国防系国家機関と協力することで、高質なハイテク兵器を開発している。我が国の企業や学術機関は、中国がこのような手段を取っていることを認識しなければならない。

 

 現在日本政府内で注目されている経済安全保障はAI・宇宙・電磁といった「新領域」を保護育成する点が集中的に議論されている。しかし、中国はこれのみに投資しているわけではない。軍事作戦遂行に必要なセンサー・通信といった重要技術にも注目している。

 

日本政府は、中国の「新領域への投資」という「木」一本に注目するのではなく、中国の全体戦略を「森」という広い視点で考慮した上で対策を講じるべきである。