昨日の外交部会では以下の点を議論。ここ最近重要な外交事案が連続したため、本日はまとめて議論した。

 

1、中国共産党第19期六中全会について

2、最近の台湾を巡る動きについて

3、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)について

4、アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議について

 

六中全会(中国共産党第19期中央委員会第6回全体会議)ではコミュニケが出され、1921年の中国共産党創立以来の100年の歴史を4つの区分として示した。第一区分(1921~1949)を新民主主義革命期、第二区分(1949~1978)を社会主義革命・建設期として、これら2つの時期の指導者を毛沢東としている。第三区分(1978~2012)は改革開放・社会主義現代化とされ、同時期の指導者が鄧小平、江沢民、胡錦濤と3人一括りにされている。そして第四区分として2012年習近平総書記就任以降を中国の特色ある社会主義の新時代として、習近平を指導者とする歴史決議を出した。これはとりもなおさず、習近平の権威を高め総書記3期目を確実にする措置だ。そして3期目以降も視野に入れているとも見られているが、そんな中で日本の北京冬季オリンピックへの参加問題は避けて通れず、習近平の国賓来日問題も再燃すると見込まれる。慎重に対処しなければならない。

 

最近の台湾を巡る問題としては、中国が圧力を強める中で蔡英文台湾総統は従来の言い方で反論したものの、「4つの堅持」とこれまでにない表現を用いた。

①    自由かつ民主的な憲政体制の堅持

②    両岸は互いに従属しないことを堅持

③    主権の不可侵を堅持

④    台湾の未来は台湾人の意志に従うことの堅持

また、台湾国防部が2年ごとに出版している国防報告書も議題に上がった。安全保障上の脅威として、サイバー戦や認知戦の遂行により「戦わずして台湾を奪取」を企図していると台湾側は考えていることが読み取れる。このグレーゾーン脅威は日本にとっても対岸の火事で済ますことは出来ず、対応を急ぐ必要がある。

 

国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)については、岸田総理が出席した首脳級会合において、2030年までを勝負の10年として日本の決意を示すと共に、全世界に向けて野心的な気候変動対策を呼びかけた。国際社会における気候変動を巡るルール形成は各国の国益が激しくぶつかる。菅前政権から岸田政権に引き継がれ確固とした流れが出来たが、日本が資金を拠出するだけで負担を一方的に押しつけられないしたたかな外交を展開しなければならない。

 

最後に、アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議。テレビ会議形式で開催され、日本の岸田総理を始め、21の国、地域の首脳が出席。興味深いのは、台湾は半導体で有名なTSMC創業者のモリス・チャン氏が代表して参加したことだ。この場で改めてTPPへの加盟に強い意欲を示した。今後は中国と台湾、そして離脱した米国を含めた激しい外交交渉が展開される見通し。米国が抜けた後のTPP各国を団結させ合意に導いた国として、今後も日本がしっかりと主導権を取って交渉を進めることが重要だ。