本日、アフガニスタンからの邦人や現地職員の退避に伴い、自民党外交部会・国防部会等を実施した。今回はカブール空港から日本まで、極少人数の邦人と大使館等の現地職員を輸送するための外務省と防衛省の共同作戦であり、実際の輸送対象の殆どが現地職員とその家族のアフガニスタン人だ。

 

今回の作戦の一連のプロセスは、①カブール市内等からカブール空港への退避者の移動、②空港での現地職員及びその家族の人定(一緒に働いていた日本人の大使館員やJICA職員が実施)、③自衛隊C-130機によるカブール空港から周辺国拠点空港へのピストン輸送(誘導輸送隊の派遣は初)、④民間航空機による周辺国拠点空港から日本への輸送、⑤退避者の日本への難民認定や第3国への出国調整支援となる。

 

この作戦のボトルネックになりそうなのが、①退避者の自力での空港までの移動だ。今回の自衛隊派遣は、自衛隊法第84条の4(在外邦人等の輸送)であり、空港外での避難民の救出や警護、輸送を想定していない。一方、空港周辺にタリバンが検問所を設けているため、輸送対象の邦人や現地職員が安全に検問所を通過して空港まで来てもらう必要がある。その調整作業を、現地入りした情報収集チームの大使館員等が、輸送対象の現地職員及び検問所のタリバン側と行うことになる。

 

今回、自衛隊機はカブール空港ではなく、周辺国の拠点空港で待機しており、カブール空港に輸送対象者が集まった後、拠点空港からカブール空港に向かい、最小限の時間で、輸送対象者を搭乗させて周辺国の拠点空港に戻る。このピストン輸送を繰り返す予定だが、カブール空港に輸送対象者が来ないことには、ピストン輸送も始まらない。如何にして必要な輸送対象者が安全かつ適時にカブール空港に来てもらうか。ここがポイントだ。

 

更に本退避作戦のもう一つの鍵は、米軍によるカブール空港の安全確保だ。カブール空港周辺に米軍が展開しているからこそ、自衛隊機による周辺国とのピストン輸送が可能となる。仮に米軍撤収なら自衛隊機活用の退避作戦は不可能であり、8月末までに米軍等の退避作戦が終わるのか、それとも米国の全ての輸送対象者の輸送完了まで延長するのか。ここが日本の退避作戦にも影響してくる。一方タリバンは、8月末が退避作戦のデッドラインとしており、その後の安全は保証しない意向も示している。この退避作戦の完了時期は、本日夜のG7首脳会議でも議論の焦点になる

 

今日の会議には出入国在留管理庁の担当に参加してもらい、アフガニスタン人の日本入国後の対応についても議論した。その後日本に残る場合と第3国に出国する場合の支援も想定されるが、当然、コロナ禍の入国であるため、隔離措置も併せて取られる。その間に難民条約に基づき対応する場合や、各国の在京大使館と連携して第3国への出国する場合含め、本状況の特性に鑑み、丁寧な対応が求められる。

 

また米国が行っている退避作戦関連で、米国入国ビザ発給のために中継地として在日米軍基地が使われる場合の日本の対応についても議論した。特別の移民ビザ交付には中継地で数ヶ月かかる場合もあるようだが、米国から申し出があれば、日本政府は最大限支援する意向との発言が外務省よりあった。

 

いずれにせよ、今回の退避作戦の鍵は、輸送対象者の空港までの移動、空港での人定等カブール空港で調整にあたっている外務省や自衛隊の情報収集チームの活動に寄る部分が多い。自衛隊輸送部隊の安全確保と共に、できる限りの支援をする。