今後自衛隊に必要な装備などについて、来年度の予算にも絡むことからいくつか要望した。主な点として、対ドローン対策を進めるべきと意見した。これは7月29日に、オマーン湾で日本の企業が所有する石油タンカーがドローン攻撃を受けて船長と乗組員2人が死亡した事案が発生を受けてのことだろう。

 

問題点は、日本企業所有船舶なのに、日本関連船舶の安全確保の情報収集のために派遣されている海自艦艇の任務地域で事案が発生したにも係わらず、自衛隊が調査に関与できず、米海軍第5艦隊が調査に当たっていること。自衛隊が調査に関与できないのはおかしい。

 

また、今回のドローン攻撃は、艦橋と船員居住区をピンポイントで狙っている攻撃の可能性が高く、船長を狙った偵察用ドローンと自爆用ドローンを組み合わせた攻撃との見方もある。海自の任務地域で起こった日本企業保有のタンカー攻撃に海自が関与できないのはおかしい。一方、海自の艦艇は、海保の巡視船と違い、艦橋(かんきょう)のガラスは防弾ガラスになっていない。佐藤の要望を受け、河野防衛大臣(当時)は、逐次防弾ガラス化しつつあったが、未だほとんどは防弾ガラスが設置されていない。ドローンの艦橋攻撃には極めて脆弱だ。また、今後イージスシステム搭載艦等が整備されるが、イージス艦レーダーのイルミネーター(照射装置)等もドローン攻撃には脆弱といえる。高出力マイクロ波での対処も研究はされているが、実戦配備は相当時間がかかる。CIWS(近接防御火器システム)での撃墜も米海軍の研究では限界があるようだ。捕獲用の網ではドローン対処には不十分で話にならない。

 

東京五輪開会式でもドローンによるパフォーマンスがあったが、あの種ドローンに爆弾を搭載することは難しくない。今後同様の攻撃が自衛隊の船籍になされる可能性も十分ありえる。護衛艦の艦橋防護とイージス艦のレーダーなど核となる技術をしっかりと守ることも来年度概算要求の中で検討することを要望した。

 

更にドローンは極超音速ミサイルのセンサーや海上監視でも有益であり、いろいろなドローンが日本の防衛警備上、非常に重要だ。更に、災害派遣用のドローンも熱海市での災害派遣でも活躍したが、本来は基地の防衛警備用として使われる。かつ、まだ全ての主要施設にあるわけではない。海自の基地警備では、未だ導入されていない。

 

以前、朝倉市等の九州北部豪雨災害派遣当時、陸自はドローンを持っていなかった。陸自幹部にもドローン導入に否定的な意見もあったが、自民党国防議連の強い要求もあって陸自は軽易な製品を導入した。北海道胆振東部地震では、そのドローンが大活躍し、指揮官や市長・町長の判断にも大きく役立ち、3D地図の作成でも有効だった。民間タイプのドローンも日進月歩、ドローンの活用整備についても、来年度予算の中で議論することも重要だ。

 

また、来年度の概算要求では継戦能力の維持の観点から、弾薬整備が重点項目となったが、弾を増やした場合、それを保管する弾薬庫の整備も重要。実は、耐震化が遅れているかなり古い弾薬庫も陸自にはあり、隊員が弾薬庫内で作業中に大きな地震があったら、隊員が生き埋めになる可能性もあり、それを心配している陸自弾薬処長もおられる。弾薬整備と共に弾薬庫の安全対策も強く要望した。