本日は、ロシア首相の択捉島不法上陸を受けて、外交部会・領土に関する特別委員会で合同会議を開催。そして、その後は外交部会単独で以下二点を議論。

1、 インドネシア、ミャンマーの感染状況と邦人保護の取組について
2、 新型コロナワクチン接種証明書について

まず、合同会議において政府側から「ミシュスチン露首相による択捉島訪問」の経緯について説明があった。北方領土は日本の領土であり、政府が「ロシアによる不法占拠」との立場である以上、「不法上陸」という言葉こそ適切な言葉だ。外務省担当者は「従来通りの表現」と説明するが、言葉の一つ一つに主権を侵害されていることへの危機意識の低さがにじみ出る。ロシア政府に抗議する際の力の入り方にも影響が出るはずだ。実際、韓国大統領が竹島に上陸した際、外務省は「上陸」を使用している。竹島が「上陸」で、北方領土は「訪問」では説明が通らない。領土交渉では原則を最初から曲げては足元も見られる。交渉は容易でないことは理解するが、原則を大事にする事も必要だと思う。

今回、ロシア首相が上陸を強行した択捉島は、北方領土の他の島々よりもインフラ開発が進んでおり、ロシア政府が地域拠点として重要視していることが分かる。以前にも佐藤は指摘したが、空港を持ち、軍隊が常駐し、地対艦ミサイルが配備されていることは、ロシアとして簡単に択捉島を手放さないとの強い意志の表れである。軍隊は主権を守るためにある。国後島と択捉島には軍がいるが、色丹島と歯舞諸島にはいない。ここにも差がある。

今回もプーチン大統領の命を受けて首相が動いていることから、今後の交渉が簡単には進まないことは明白だ。今回のロシア首相による上陸強行に対して日本側は外務事務次官、ロシア側は駐日大使のレベルで話が成されたが、出来るだけ早期に、日露外相会談を対面で行うべきだ。今後も平然と政府高官が北方領土に足を踏み入れるようなことが続いては、日露関係の根本が崩れるということをロシアに理解させ、領土交渉を進展させなければならない。

更に、インドネシアとミャンマーのコロナ感染状況についての現状報告及び、現地邦人を一時帰国させるための臨時便の運行状況について説明を受けた。感染状況の深刻なインドネシアにおいては、当初大企業の駐在員関係者に限られていた臨時便運行が中小企業や個人にも間口が広がってきた。また、タイにおいては現地政府との調整の結果、現地邦人へのワクチン接種が8月から開始される予定だ。タイ政府には外交部会長としても感謝したい。

最後は、ワクチン接種証明書について。報道されている通り、順次紙での交付が始まっている。ただ将来的には電子化に移行することが必須であり、国際基準に沿って証明出来るよう交付項目や様式を統一していくことが必要だ。政府としても先進的なEU始め各地域、相互主義の観点及び各国の動向を見ながら進めているようだが、日本が取り残されることがないよう円滑な移行を実施してほしい。