本日、自民党本部で、外交部会・外交調査会・国際協力調査会 合同会議が行われた。

議題は以下。

 

①新型コロナウィルス感染症のワクチンを巡る各国の動向について

②開発協力白書の承認審査

 

はじめに外務省より、「新型コロナウィルス 途上国へのワクチン関連支援」、「ワクチン接種をめぐる世界の現状」の説明が、以下の通りあった。

日本はワクチンを開発してないので、「COVAX」を使って、2億ドルを拠出し、途上国に対する支援をする。現在WHOが緊急使用リストに掲載しているのは、「ファイザー/ビオンテック、アストラゼネカ」だけであり、他にも登録されたら途上国への配布のスピードが上がる。

 

 

「Gavi」とは、ワクチン責任調達機関となる。「COVAX」はGavi主導の下、時限で立ち上げられた包括的な資金調達及び供給メカニズム。ワクチンは「成功率が低い、リスクが高い、高価格」の場合が多いということで、国家の経済力にかかわらず、平等公平なアクセスを確保できるようにするために「先進国向け」と「途上国向け」と枠組みができた。日本は先進国向けにも途上国向けにも入っている。(ロシアは両方入っていない。中国は自国向けには入っているが、途上国向けには、直接二国間支援で自国ワクチンを提供する狙いから入っていない。) 2021年の末までに、まずはハイリスク群である保健医療関係者、高齢者等(人口の20%)目処への接種を目指す。

 

 

EUの輸出規制につき、EU事前購入契約の履行に脅威を与えるほどの輸出量ではない場合のみ、権限ある当局は輸出許可を発出する。茂木外務大臣は、ドムブロウスキス欧州委員会の貿易担当委員へ、日本へのワクチン供給に支障が生じることがないように求め、先方からは、日本への円滑なワクチン輸出を確保するよう最大限努力すると述べた、確約の言質は与えなかった。

 

 

中国ワクチンについて、世界臨床試験段階にある63種類の内、16種類が中国企業のもの。海外には3種類のワクチンを出している。積極的にマスク外交に続き、ワクチン外交を展開している。中国外交部は53か国に「ワクチン援助」を実施、もしくは実施予定と発表。中国国内のワクチン接種は12月15日から正式に開始している。2月3日時点で3100万回以上の接種がなされている。偽物ワクチンも目立つ。2月10日の時点で21件70名が逮捕されているとの報道もある。

 

 

インドのワクチン外交について、インドは世界の薬局、安くて扱いやすい、世界を救うとモディ首相は言った。

 

 

ロシアのワクチンは2種類あるが、「スプートニクV」が進んでいる。既にロシア国内で158万名がワクチン接種を受けていて、英医学誌「ランセット」では、予防効果は91.6%と治験結果を発表した。在京のガルージン大使は、マスコミに対して、日本においても「スプートニクV」が益々人気と発言したが、現時点で、日本企業の中で関心を示している企業はない。

 

 

続けて、2020年版開発協力白書の概要が説明された。

正式には3月中旬頃、閣議で報告するのだが、事前に外交部会で説明をしている。参加議員全員より、了承を得た。

 

参加議員から、「中国がワクチンを過度に外交ツールとして活用しているのに対し、わが国はその分野では後れをとっている。COVAXの枠組みに拠出をすることは大切だが、日本が世界に貢献していることがしっかりと伝わらなければ意味がない」との意見が多数出た。

 

現状、ワクチンは戦略物資である。日本も政治がリードして、国産ワクチンを外交ツールとして外交戦略を考えていかなければならない。