本日、自民党本部で外交部会・外交調査会合同会議を開催した。議題は以下。

 

①朝鮮半島情勢について

②最近の各国首脳・閣僚間の会談について

(日豪外相、日尼外相、日米外相、日加首脳、米印首脳、米中首脳)

③尖閣諸島周辺海域における中国海警船舶による領海侵入及び日本漁船への接近事案

 

北朝鮮経済の実態は、三重苦(制裁・自然災害・コロナ)で、特に中朝貿易の税関統計によれば、昨年の輸出入は共に昨年比8割減。12月単月だと輸入については99%減と激しいマイナスになっていると報告があった。

米国については、ブリンケン国務長官はじめ、サリバン大統領補佐官、大統領報道官、国務省報道官、NSCインド太平洋調整官(就任前の発言)から、米国は北朝鮮政策について見直しを行っていると発言したと説明があった。ただ、北朝鮮や韓国が求める「行動対行動(段階的アプローチ)」についてブリンケン国務長官が否定はしない等不透明なところがあり、日本としても完全非核化と拉致問題の解決に向け、米国とすり合わせることが極めて重要だ。

 

 

 

韓国は、2月8日に新しい外交部長官が就任した。74才で国家安保室長努め、南北首脳会談を指導した人物。米朝対話の早期再開を通じ、実質的な非核化の土台を作ることに外交力を集中すると発言したと報告があった。また、北朝鮮に対しても米朝対話の早期再開を説得している。金正恩委員長は非核化の意思を有していると発言しているが、金委員長の非核化の意思については極めて疑問だ。

韓国における最近の動きでは、米韓合同軍事演習について、閣僚の発言のトーンがそれぞれ違うのではないかとメディア等に指摘されている。これでは在韓米軍の抑止力の低下に繋がる懸念を抱かざるを得ない。

 

 

韓国の国内情勢の説明では、文在寅大統領の支持率低下や、セクハラ辞任によるソウル市・釜山市長の補欠選挙がある。候補者はまだ固まっていないが名乗りを上げている方々はいる。現時点では野党がかなり強くなるのではと言われている。

 

 

参加国会議員からは、「出典が税関統計ということで、減っているとは思うがどの程度信頼できるのか?」「アメリカと北朝鮮政策は基本的にCVID的な検証可能な不可逆的ということで、全く認めないという方針なのか、それとも段階的に一つ一つ無くしていけば良いという認識なのか」「アメリカの政権交代に伴い、日本と韓国の歴史問題の認識の違いについて、アメリカはどのように思っているのか」「これだけ日本に無礼な発言をし、国際的にも異例な形で大使内定を公表しているのに何故、姜昌一韓国駐日大使はそのまま承認されたのか」「拉致問題について、バイデン政権はどう認識しているのか」

 

外務省からの回答は、「中朝貿易を数字でわかるのは税関統計のため、その数字を並べた。中朝間では一定のやり取りはあると言われており、戦略的な物資についてはやり取りが行われているのではないか等々、色々言われているが、確たるところはわからないのが現状」「韓国の閣僚の発言にあったように、在韓米軍を含むアジア担当地域の米軍の抑止力というのは非常に重要なものだと考えている。これからも引き続き、アメリカ、韓国と緊密に連携していくという考えでいると報告があった。「CVIDという表現の仕方はしていないが、昨今の日米首脳会談等では、国連安保理決議に沿った北朝鮮の非核化ということで日米の間で一致した。」「歴史問題については、日米の連携が重要だという意識は非常に強い。昨今の日韓関係の悪化については、まさに韓国の一方的な行為によって起きていると認識している。」「アグレマン手続きについては、11月発表された時点で何度も韓国側に抗議をしている。引き続き、姜昌一韓国駐日大使の発言を注視しつつ、しっかり取り組んでいく」「拉致問題についても努力をしてきた。バイデン大統領との首脳電話会談、外相電話会談、いずれにおいても、双方から拉致の問題の重要性に理解する。日本に協力、支援していきたいという話があった」

 

次に、各国の首脳・閣僚電話会談の概要が説明された。日豪外相会談では、ミャンマー情勢について、民主的な政治体制の早期回復や拘束された方の釈放を軍部に対して強く求めていくことで一致。自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて緊密に連携していくことで一致。日米豪印クワッドの連携も更に強化していくことで一致。中国海警法を含め、一方的な現状変更の試みに強く反対することで一致した。

 

インドネシアとの外相電話会談について。ミャンマー問題をどのように取り組んでいくかについての話が中心となった。両外相は、戦略的なパートナーである。地域的な課題における連携を更に強化していくことで一致した。

 

日米外相電話会談について。ミャンマー問題について議論したいと先方から依頼があり実現の運びとなった。

民間人に対する暴力的な対応を直ちに停止するよう強く求めていくことで一致した。早期に民主化回復を国軍に対し強く求めていくことも一致した。中国に関しては、海警法を含め、東シナ海における一方的な現状変更の試みについての懸念を共有し、連携していくことで一致。ブリンケン長官は、尖閣諸島が日米安保条約第5条の適用範囲であることを再確認した。

 

日カナダ首脳電話会談について、菅総理は、自由で開かれた国際秩序の強化に向けてカナダと綿密に協力していきたい旨を述べた。トルドー首相より、日本とカナダで国際社会の重要な課題について協力していきたいと発言があった。「自由で開かれたインド太平洋」実現に向けた協力や、北朝鮮による「瀬取り」への対応における協力についても意見交換を行った。北朝鮮拉致問題の解決に向け、指示と協力を求め、先方からは支持の表明があった。

 

その他、米印首脳電話会談やバイデン大統領と習近平国家主席の会談が行われ、概要は以下となる。

 

 

米印首脳電話会談では、両政府発表ともに「自由で開かれたインド太平洋」※インド側は「自由で開かれ、包摂的なインド太平洋地域」を促進すると共に日米豪印を地域安定の構築枠組みとするための緊密な協力を継続することに合意。バイデン大統領は、世界の民主主義的な制度や規範を擁護したいとの願望を強調し、民主主義的価値に対する共通のコミットメントが米印関係の基盤であることに留意。首脳は、ミャンマーにおいて法の支配及び民主的なプロセスが堅持されなければならないとの決意を表明。

 

 

 

2月10日(米国時間)、バイデン大統領と習近平国家主席との間で初の電話会談が実施されたと報告もあった。以下は米中それぞれの対外発表。

 

 

最後に、尖閣諸島周辺領海に昨日と本日、中国海警船が領海に侵入し、日本漁船に接近しようとする動きをみせた。2月1日の改正海警法施行以来、15日、16日の領海侵入で、4回目の国際法違反の領海侵入。断じて容認できない。

 

しかもブリンケン国務長官から中国の海警法改正への懸念表明や日本外務省の抗議では中国の領海侵入は止まらない事が明確になった。外務省も認めた。ならば目に見える形の行動が必要だ。尖閣等での共同訓練や領海警備法等の法整備が必要だと思う。

 

 

中国の海警改正法の施行が2月1日になされ、中国の動きは止まるどころか、更に挑発行為がエスカレートしている。何としても日本を守らなければならない。外交部会長である佐藤はこれからも強く訴え汗を流していく。