昨日、自民党本部で国防部会・安全保障調査会合同会議が開かれ、以下の議題について議論が行われた。

①台湾をめぐる最近の軍事情勢
②南シナ海における最近の軍事情勢
③尖閣諸島周辺海域
④対領空侵犯措置

まず、防衛省から台湾の軍事情勢について説明が行われた。中台の軍事バランスは、年々その差が拡大し、特にミサイル戦力については中国が短距離弾道ミサイル等を多数保有しており、台湾は、国防報告書で中国が安全保障に対する深刻な脅威である認識を発表している。中国軍機による台湾空域侵入機数は以下。



トランプ政権下では台湾に対し4年間で11回、総額約180億ドルの武器を売却。バイデン政権成立後も中国は台湾周辺空域で活動を続け常態化している。オースティン国防長官、ブリンケン国務長官共に中国の台湾侵攻に危機感を持ち、抑止する発言をしてる。

次に南シナ海における軍事状況について説明が行われた。中国による埋立、軍事目的のためのインフラ整備は着々と進み、ASEAN諸国は強い懸念を示し続けている。米国は、トランプ政権時に「航行の自由作戦」を頻繁に実施してきた。バイデン政権成立後も、先月23日、空母打撃群が南シナ海に入り定例的な作戦を実施した。

また、中国海警法改正に対して、フィリピンは外交抗議を提出、ベトナムは「国際法に従うべき」と懸念を表明している。

続いて、海上保安庁から尖閣諸島周辺海域の状況について説明が行われた。昨年は、中国海警船等が接続水域に333回入り、連続日数も111日と最多を更新した。領海侵入事案は以下の通りである。



最後に防衛省から対領空侵犯措置の状況について説明が行われた。昨年は中国機に対して331回、ロシア機に対して206回の緊急発進を実施し、それらの活動形態は長時間・長距離にわたる飛行が目立った。平成24年からのパターンの変化は以下



参加議員からは、「自衛隊、米軍、台湾軍の連携の場が必要」「対領空侵犯措置においてパイロットに権限が委ねられる場合の訓練を行うべき」「中国海警法の改正に対する政府の姿勢が弱い。各国が示している様に、非難すべき」等、政府に求める意見が出た。

中国の脅威は間違いなく深刻さを増し、新たな段階に来ている。政府に積極的な対応を求めると共に領域警備法の整備など具体的な取組みに力を入れていく。