本日、自民党本部で外交部会を開催した。議題は「米国の対中人権外交(香港・新疆ウイグル自治区・チベット自治区等)」について。またそれに加えて「中国海警法の改正の可決」についての報告が行われた。

 

まず、外務省から米国の対中人権外交について説明が行われた。トランプ政権、そしてバイデン新政権のこれまでの主な発言は以下。

 

参加国会議員からは、「日本の立ち位置、あるいは、これからの人権外交の中身が非常に求められる。今までのようなスタンスではもたない。」「党からもしっかり支えるので、人権外交をしっかり進めるべきだ。」と政府に求める声が多かった。

 

「ビジネスと人権という形で、今まで日本政府は中国との経済重視の関係で、人権について腰が引けているのでは?」という声もあった。NGOの報告で、「日本企業がウイグル人の強制労働に関与しているのではないか」という問いに外務省は、「企業は否定している。日本政府もビジネスと人権の合同計画をまとめているようだが、こちらも次回、現時点におけるビジネスと人権の行動計画を各省庁でまとめたものを示す」と回答があった。背景として、日本の人権外交のスタンスは他国からどう見られているか。非常に弱いと見られているのではないかと、指摘が多々あった。

 

また、「1948年150か国が署名をしているジェノサイド条約に、憲法の問題、国内法の問題等が今まで言われてきたが、日本が入っていない理由を明確に教えてほしい」という質問に対し、外務省からは「次回のこのテーマの外交部会までに整理をしておく」と回答があった。

 

外務省政務三役経験者からの「過去に様々な要人と会った際、人権外交については1番歯切れの悪い答弁しかできなかった。」との意見が出された。

 

今回の外交部会は、キックオフという位置づけで、これからこの問題はG7もある為、チームを作り、継続的に取り上げていきたいと思っている。

 

今回の説明は、新疆ウイグル、香港、チベット自治区が取り上げられたが、「なぜ南モンゴル(内蒙古自治区)の問題は入ってないのか、中国語教育の話があるだろうし、少数民族による語学教育の問題等もある為、しっかり取り上げてほしい」と政府に求める声が出た。

 

次に、外務省から「中国海警法の改正の可決」について説明が行われた。

 

中国海警法の改正が1月22日、全人代の常務委員会により可決され、2月1日から施行される。これによって中国海警局の武器使用が法的に裏付けされ、今後、更なる武装化の動き、尖閣における海上保安庁の巡視船あるいは漁船に対する武器使用ということが法的に可能となる。経緯や主な内容は以下。

 

 

参加国会議員からは、「海警法については、権限として何ができるのか、また、それによって、日本の海上保安庁、沖縄県警、自衛隊等は、何ができるのか、どういう対応ができるのか、抜け穴はないのか?というのを一覧表にしてほしい」という要望があり、外務省より、関係省庁と連携して一覧表を示すと回答があった。

 

恐らく、外交部会でウイグル問題を正式に議題として取り上げたのは、今回初めてである。アメリカで人権問題が、厳しくなりつつある中で、米国議会では超党派で取り組んでいる。ブリンケン次期国務長官は、公聴会で「ウイグル族を強制収容施設に押し込め、実質的に中国共産党イデオロギーに従うよう再教育するなどの行為は全体として、ジェノサイドを目指す動きといえる」と、発言し「トランプ大統領が中国に対して、より厳しい姿勢で臨んだのは正しかった」と述べている。バイデン政権はトランプ政権以上に、対中人権外交が厳しくなる可能性がある。

 

日本の基本的な外交方針である「価値観外交」(基本的人権・自由・民主主義・法の支配)を損なうことが無い様に、進めてなければならない。また、海警法に関しては、グレーゾーン事態対応としての領域警備法等の整備も必要になってくる。引続き、外交部会で取り組んでいく。