本日、自民党本部で米国の新政権について、外交部会を開催した。

まず外務省から、バイデン大統領就任式の様子と演説内容、また、就任式に参加しなかったトランプ前大統領の離任スピーチと退任式典の概要が説明された。

コロナウイルス感染拡大防止と暴動阻止の警備強化の影響で、トランプ政権発足時と比べ、参加人数も限られ、 こじんまりとした様子なのが写真からもわかる。



バイデン大統領の演説では、内政が19分で、外交は1分だった。これからも内政重視なのが分かる。1分間の中身は、「我々は同盟を修復し、世界に再び関与する」「恐怖ではなく希望、分断ではなく連帯、暗黒ではなく光、尊厳と、愛と癒やし、偉大さと良心に満ちた米国の物語を共に描こう」という内容であった。アメリカの問題が表された演説であり、分断の修復は容易ではないところからのスタートだと説明があった。

各国から祝意のツイートがあり、日本は菅総理、麻生副総理、茂木外務大臣から、ロシアと中国は報道官から送られた。今後、バイデン政権は4つ分野を優先し、莫大な費用をつぎ込むと言っている。



次期財務長官のイエレン氏の発言で、「累積債務問題は認識した上で、歴史的な低金利環境下で、目下必要なのは大胆な経済対策」と発言している。コロナウイルスのパンデミックを抑制するためには、何でもやる旨を発言した。また、安全保障関係の主要メンバーの人事も発表された。



元国務長官のジョン・ケリー氏の気候問題担当特使への登用は、バイデン政権が気候変動問題を安全保障の最優先課題と捉えていることを意味している。また、NSCのメンバーともなった。
 
 昨日NSCのサリバン局長と北村国家安全保証局長が電話会談を行い、北村局長からは、「日米同盟の強化として、経済安全保障の連携もしていきたい」と話し、サリバン局長からも、「しっかり協力していきたい。尖閣については、日米安保第五条の適用範囲内であり、尖閣に対するいかなる侵害行為についても反対し、日米豪印の4か国の連携も強化していきたいという説明があった。

―各長官の公聴会での発言―
オースティン次期国防長官:①コロナ②中国との競争に勝つ③気候変動④同盟関係を再活性化する。(2番目に中国をもってきたが、同盟関係が4番目なので、やはり内政重視なのがここにも表れている)

ブリンケン指示国務長官:中国への、トランプ政権の強行的なやり方は、全く賛同できないが、原則は正しかった。中国が、コロナウイルスにおいて世界を欺いたことにも同意。台湾に対して、トランプ政権が行ったことは、超党派のコミットがあった。台湾が侵略抑止を考えていきたいということなので、前向きに捉えて良いことだと思う。北朝鮮において懸念されているのは「段階的なアプローチ」。

これに対し、外務省から、韓国と日本の立場は異なり、韓国は段階的なアプローチを許容しているが、日本は認めていない。外務省からアメリカへ、韓国ではなく日本の立場を認めてもらうように発信を強化すると発言があった。中東については、トランプ政権とイラン問題について全く立場は違うが、彼らがJCPOAを順守するならば、日本政府としても歓迎したい。アブラハム合意というものについては、バイデン政権も継承するという。

イエレン次期財務長官:為替は弱い通貨を追求しない。他国によるそういったいかなる試みにも反対。今後のインフラ投資等を含む経済パッケージは、財源は未定だが増税も検討。ただし、増税策は企業・富裕層に焦点を絞ったものとしなければならない。中国は最も重要な戦略的競争相手。貿易障壁、補助金、知的財産の窃取、強制的な技術移転、不十分な環境規制等、色々ある為、トランプ政権が行ったことを全ては否定しないだろうと予想されている。

参加議員からは、「駐日大使の人事の動きはあるのか?」との質問が出た。外務省は「まだ何も決まっていない。」と回答。
また、「菅総理とのバイデン大統領との会談を電話会談含めて早急に今対応したい」という声がたくさん上がった。
「バイデン大統領の韓国あるいは中国に対する姿勢はどうなのか?」という質問に対し、「オバマ政権時は中国との関係が強かったが、民主党は、南シナ海の埋立て問題や、サイバー攻撃を通じてアメリカの技術が盗まれる等の問題があるため、バイデン大統領も副大統領時とは異なる対応を取るのではないか」との意見が出た。
「FOIP(自由で開かれたインド太平洋)」の名称についてアメリカとの擦り合わせは終わっているのか?」という質問に対しては政府から歯切れの悪い答弁しかなかった。

引続き、バイデン政権の新体制を注視し、対応していかなければならない。