昨日、自民党本部で外交部会・外交調査会合同会議を開催した。

まず、中国共産党第19期中央委員会第5回全体会議(略:五中全会)について、外務省から説明が行われた。10月26日から29日まで開催されたこの会議では、来年採択される見込みの五ヶ年計画、2035年までのビジョンの概要を紹介しているが、網羅的な列挙に止まり、数値目標等の言及はない。習近平国家主席を「党中央の核心」「全党の核心」と記述し、共産党指導と社会主義制度の優位性を改めて強調し、習近平の重要性を強調した内容になっている。

次に、大和堆における中国漁船、北朝鮮公船の活動について。尖閣諸島周辺では、特に中国の海警局の船舶による排他的経済水域における航行が今日で283日となり、これまでに過去最高となった。これは、ステージが変わったことを意味する。中国のサラミ戦術に慣らされるわけにはいかない。しっかり対応し、守らなければならない。大和堆でも、日本の排他的経済水域にも関わらず、日本漁船が安心して操業できない状況である。水産庁は、9月29日、北朝鮮の公船を確認した後、我が国漁船に大和堆の一部での海域での操業を自粛するよう要請した。約1ヶ月後、北朝鮮公船がいなくなった事を受けて自粛要請を段階的に解除した。同海域が我が国の排他的経済水域との主張は、実効性を伴っていない、ゆゆしき状況である。

次に、WTO事務局長選についての現状報告が外務省から行われた。最終ラウンドの結果が、ナイジェリアのオコンジョ候補が最もコンセンサスを得られる候補として提示された。しかし、アメリカが韓国の候補者を応援するとプレスリリースまでした為、未だ決定がなされていない。通常なら、11月9日の特別一般理事会で決まることになるが、コンセンサスが成立しない場合、投票の可能性も検討するとされている(実施された例は過去にない為、空白期間が更に延長される可能性も)。新しい事務局長には、山積する課題にいち早く取り組み、WTO改革を着実に前進させることが求められる。

最後に、トルコの地震の被害について外務省から説明が行われた。トルコ西部における地震では、73名が死亡し、961名が負傷した。現時点で邦人が被害にあったという情報はない。トルコ政府に対して、菅総理及び茂木外務大臣からお見舞いのメッセージを伝達。在トルコ大使館からもお見舞いのメッセージをHPに掲載している。トルコ政府から支援の要請があれば、日本として速やかに検討する旨を伝達してある。菅総理は「地震の多い日本とトルコはお互いに支え合ってきた、日本は常にトルコの皆様とともにある」茂木大臣は「トルコが必要とする可能な限りの支援を行う用意がある」とそれぞれがお見舞いのメッセージを伝えたとのことである。

参加国会議員の質問は、大和堆における問題について集中し、
「排他的経済水域から水産庁が退去させ中国漁船が、どの様な状況で退去したのか?漁を完了した後に退去しているとの報告もある。」
「我が国の排他的経済水域で、北朝鮮から漁業権を買った中国船が北朝鮮船の背後で操業している。その安全操業を北朝鮮公船が監視しているのではないか?」
「なぜ、海上保安庁が日本漁船を守り、日本操業を続けられないのか?」
等の質問が出た。

海保は同海域が微妙な海域であることや、北朝鮮の公船がかつてない大きさであったこと等を理由に説明したが、不明瞭なものであった。外務省が我国の排他的経済水域と言っているのに、海保が同海域が微妙な海域だからエスカレーションを避ける為に漁船を退避させるとは、本末転倒。北朝鮮公船が数隻大和堆に遊弋すれば、海保が対応しないということがあってはならない。



我が国の漁船の安全を確保することは大切であるが、我が国の排他的経済水域にいる外国漁船によって、日本漁船が移動させられ操業を行えなくなるというのは間違っている。外国の主権侵害を許し、我々国民の利益を失っている。なぜ尖閣では漁船対応ができて、大和堆ではできなかったのか。深刻な問題である。政府側に29日の事案の概要、海保は漁船の安全操業を担保せずに退避を求めた理由、今後の対応方針について再度、外交部会に提出説明を求めた。二度とこの様な問題が起こしてはならない。