本日の「外交部会・外交調査会合合同会議」では、兼ねてから議題に上がっていた4つの問題を議論した。

 

①WTO事務局長選挙

アゼベド前事務局長が任期を1年短縮し、本年8月31日に辞任することになった為、後任を選出することになった。9月の初旬からはじまり、昨日第3回ラウンド終わり、ナイジェリアと韓国の候補のいずれかの勝利が確定する予定。日本は、通商国家なので、WTOを大変重視している。機能不全に陥っている上級委員会の問題や、新型コロナで重要性がますます明らかになったデジタル経済のルール作りの改革など、新しい事務局長には、山積するこれらの課題に取り組み、WTO改革を着実に前進させることが求められる。この観点から、次の事務局長には、主要国間の利害を調整する能力、多角的貿易体制の維持・強化に積極的に貢献する能力という資質が求められる。我が国としては、これらの条件を満たす候補が選ばれるよう、関係各国と緊密に連携してきている。

 

②ベルリンの慰安婦像設置問題

9月28日に除幕式が行われ、10月8日にミッテ区は、撤回処分と撤去命令を出したのだが、10月13日撤回処分の暫定的停止を求め、コリア評議会による申立てを受け、行政裁判所による判断が下されるまでの間、撤去期限を無効とした。それを知り、10月21日に姉妹都市の新宿区が、区長からミッテ区長宛に書簡を発出した。公表してるのは新宿区だけだが、東京都はベルリンと姉妹都市であり、他にも姉妹関係を結んでいる自治体がある。政府、各自治体、現地の日本大使館、大使を含めて、様々な方面から働きかけている。進展具合を見ながら、表に出るか出ないか、やり方はいろいろあるが議員側も連携をしながら事の対処にあたっていきたい。ミッテ区は、日本で言う千代田区の中央地点である。それだけインパクトが大きいところに設置された。何としても撤去しなければならない。

 

③核兵器禁止条約現在の状況について

条約成立の経緯を説明があり、10月26日時点で、84か国・地域が署名、50か国・地域が締結済みとなり、来年の1月発効が決まった。

我が国の立場として、加藤官房長官は会見で、「核兵器禁止条約が目指す核廃絶というゴールそのものは我が国も共有はしている。しかし、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、抑止力の維持、強化を含め、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら、同時に核軍縮を前進させる道筋を追求していくことが適切だと考え、核兵器禁止条約は我が国のアプローチとは異なるものであることから、署名は行わないという考えを繰り返し伝え、変わりがない」と、改めて意志を表明した。外務省からも、我が国の安全保障上の問題で、難しい側面があるということを理解してほしいと説明があった。

また、オブザーバー参加の話が上がっている。公明党からも検討してほしいと外務大臣のところへ意見書を渡す場面もあったが、会合のあり方や中身が明らかになっていないので、具体的に説明できる状況ではない。

 

④米国大統領選挙の状況

今回の選挙の特徴は、期日前投票と郵便投票が選挙前1週間で6千万人以上と前回を上回っている。党派別有権者の郵便投票数が公表されている州では、民主党登録有権者の党派数が優勢だが、共和党の有権者達は当日投票に行くと言っている方々が多いので、単純にバイデン優位とは言えない。郵便投票を大幅に拡大したために、署名の欄を間違える、封筒の閉じ方を間違えるといったことが起きるのではないかと報道で書かれており、多くの州では、事前に郵便投票できたものに関しては、開封するが、一部の州では、投票日当日まで開封してはいけないとなっているため、何十万票の開封を開けるだけでも大変だということで、選挙の開封作業が相当遅れるということが見込まれ、大統領選挙日の11月3日中に、今年はできないのではと言われている。報道機関などは、これに合わせて、数十万人の投票を調査し資料としている。11月3日に結果がでなければ、12月8日各州の選挙結果確定期限、12月14日各州での選挙人による投票、2021年1月6日に議会が選挙人投票結果を確定し、2021年1月20日大統領就任式と予定している。

 

本日もたくさんの国会議員に参加し、兼ねてから議題に上がっていた4つの問題に対し、予定時間を過ぎても議論が続いた。いずれも日本の国益に大きく関連する大変重要な問題である。外交部会長として、熱く議論してくれる国会議員の声をしっかり反映していけるように頑張っていく。