本日、自民党本部で外交部会を開催し、北朝鮮の75周年記念式典で行われた金正恩による演説と閲兵式について、茂木外相のモンゴル訪問について、また、先週に引き続き、ベルリンでの慰安婦設置問題、尖閣諸島での中国公船の動きについて議論を行った。
はじめに、金正恩の党創建75周年式典は、演説に核兵器への言及や日米韓への非難コメントがなく好戦的な部分は控えめだったが、新型ミサイルやICBMやSLBM等の新兵器も登場し、潜在的脅威は高まったことを誇示する等
油断できないものだった。核ミサイル開発は国連決議違反であり、日本への脅威である事を忘れてはいけない。拉致問題も解決していない。国連制裁、コロナ、台風水害の三重苦にある北朝鮮の状況は、圧力を強化して北朝鮮を交渉のテービルに着かせるチャンスとも言える。涙とか、ありがとう。申し訳ない等の言葉に騙されてはいけない。状況を冷静に見て対応すべきだ。
次に防衛省から閲兵式で現れた兵器の説明があり、短距離弾道ミサイル、ICBM,SLBMの説明があった。今回のパレードでは陸上イージスで迎撃が可能である「スカッド」や「ノドン」は登場せず、より迎撃が困難であるミサイルが多数登場した。短距離弾道ミサイルは大きく3種類登場し、それらは全て2019年に発射されているものだった。ICBMとSLBMでは新たな装備が見られた。ICBMは2017年にロフテッド軌道という高度で発射され、極めて長い射程であると推測されている「火星15」型と、今回初めて登場したものとして11軸TELに搭載された兵器が登場し、これは過去最大の可能性がある。SLBMに関しては、発射プラットホームとしての潜水艦の開発の進捗状況、そしてICBMについては多弾頭(MIRV)・搭載重量増加・大気圏再突入技術の開発がどれだけ進んでいるかが案じられる。加えて、北朝鮮が従来中国側から購入していたと考えられていたTELも、今回の11軸の登場から分かるように、独自で開発する技術を獲得しているため、注意が必要だ。ただし、11軸という巨大なトラックを移動させ、ミサイルを直立させてから燃料を注入し発射するということは実用的でないことも考えられるため、調査が必要であると言える。
茂木外相のモンゴル訪問については、露中という二つの超大国に囲まれたモンゴルは、わが国にとっても重要なパートナーとなり得る存在であり、モンゴル側は日米を、価値観の一致する「第三の隣国」と捉えている。同国での新政権発足後「第三の隣国」からは初の要人訪問であったため、この訪問は大いに歓迎されたものであった。ウランバートル新国際空港の開港・運営で日本とモンゴルは連携を強化しており、早い段階からモンゴルは日本が唱える「自由で開かれたインド太平洋」に向け協力的である。さらに、北朝鮮との拉致問題に関しても同国は極めて協力的であるため、引き続き緊密な連携が続けられる。
ベルリンの慰安婦像設置問題については、担当区であるミッテ区が14日までに団体側が像を撤去するよう要請しているものの、団体が要請している「撤回処分の暫定的停止の仮処分申請」が同区裁判所に認められてしまえば、裁判手続き継続中は撤去が出来なくなってしまうため、引き続き注意が必要である。ミッテ区側としても日本の圧力で撤去に動いたと考えられたくないため、日本側はこれまでの協力関係に基づいた努力しなければならない。
尖閣諸島では中国海警局公船が尖閣国有化以来最長の50時間以上領域内に滞在しており、海上保安庁は毎日のように漁船保護のために巡視船を展開させている。外交ルートでも中国に対し厳重に抗議しており、速やかにわが国領海から退去するよう強く要請している。
繰り返すが、北朝鮮に関しては、今回の演説で見られたように制裁の効果が現れていると推察でき、かつ水害対策とコロナによる被害があることが明らかであるため、現在かなり「苦しい」状況でと思われる。そうであるなら、わが国としてもそれを外交のカードにし、交渉のテーブルにつかせるチャンスだと考えることが出来ます。さらに、挑発的な演説内容ではなかったものの、新開発と考えられる弾道ミサイルをアピールしたこと自体が国連決議に違反するものであるため、開発自体が容認できないことであると訴えなければならない。