本日、自民党本部で国防議連を開催し、「弾道ミサイル防衛専用護衛艦と新型イージス艦との比較」をテーマにミサイル防衛の勉強会を実施した。

 

会の冒頭、防衛省から、洋上案の検討状況について2つ報告があった。1つ目は、岸防衛相が、エスパー国務長官と会談し、引続き緊密に連携して検討を進めていくことを確認したこと。

 

2つ目は、民間事業者から専門的な技術的支援を受けるために、イージスアショアの代替案の調査研究を開始する件に関して。イージスアショアの構成品を移動式の洋上プラットフォームに搭載する場合、以下の3つについて確認する。

①搭載に技術的問題が生じるか。

②耐衝撃性能、動揺対策、塩害対策などの改修内容の確認。

③電力、冷却システムを含む搭載システムを船の中に収容できるのかの確認。

更に、BMD以外の自己防護兵装の付加やコストの算出について技術的支援を受ける予定である。来年の4月末までに報告をまとめるとのことだ。

(年末までに方向性をまとめる為に、中間報告的に報告を求める予定とのこと。あまりにも短期的検討なので、信頼性が大丈夫かとの懸念も)

 

次に、元自衛艦隊司令官の香田洋二海将からヒアリングを行った。

 

レーダーの選定に関しては、激しい叱責があり、「防衛省がイージスシステムと呼んでいるものは、米国のそれとは違う。SPY-7はまだ完成するかわからないレーダーであり、これを国民の税金で購入することに関して、説明ができるのか?」とのことだ。

 

また、海自の現場が逼迫していることから、理想的には、ミサイル迎撃に専従する部隊が必要である。したがって、アショアの代替地の再検討若しくは浮体方式という選択肢があるが、防衛省が、代替地の選定を断念した今、現実的には、将来的な我が国の防衛を考え、新型ミサイル防衛にも対応できるSPY-6レーダーとベースライン10が必要である。結果として次善の案として新型イージス艦の導入が浮上する。

 

席上、防衛省は「米国がSPY-6を採用した当時は、SPY-7は無かった」と説明したが、防衛省が類似品として説明に使用するLRDRは、追尾試験等も行っておらず、実績が無く、アラスカにある同種のタイプの一辺20mのレーダーを7mへの大規模な縮小化も必要であるため、選択の正当化には疑問が残る、との説明が香田提督からあった。

 

また、「現場が逼迫している状況をどのように改善すべきか?」との質問に対し、香田提督は「自衛官が自ら考えなければならない問題である。また、予算と人員は政治の課題であり、政治家が本気で取り組まなければならない」とのことだ。

本日の講演は、レーダーの選定に集中したが、講演の中にもあったように、政府は国民を守るために、今選択できる最善の選択をしなければならない。弾道ミサイル防衛だけを考えれば良かった時代は終わった。我が国が直面する次の脅威への対処を考えれば、自ずと選択肢は絞られる。

 

次回は、杉山元空幕長、村川前海幕長を招き敵基地攻撃能力についてヒアリングを実施する予定だ。