本日、自民党本部で国防議連を開催し、尖閣諸島問題における「警察力」について勉強会を実施した。以下の4つの項目に分け、各担当省庁から説明を受け、議論を行った。

 

1.海上警備体制

 

まず、海上保安庁から概要の説明があり、予算(2,254億円)や人員が足りていない現状が確認された。特に、1,000t以上の巡視船は、中国が130隻に対して海上保安庁は、66隻しか保有していない。それでも実際には、尖閣周辺で、中国の公船を上回る数の海上保安庁の巡視船が警備に当たっている。現状、巡視船3隻に対し、4隻分のクルーを乗船させて4隻相当の稼働率を確保させる「複数クルー制」を導入することで補っているとのことである。

 

また、今年度から新設された幹部海上保安官採用試験では、採用予定人数が30名に対して900人の応募があったとのことである。国会議員からは「定員を増やしてもよいのではないか」と政府に要望があった。

 

無人機の導入も予定しているが、船からの離発着できるドローンや、水中ドローン、また、衛星を利用したMDA(洋上監視)等の更なる強化が必要である。

 

次に、警察庁からは、沖縄県警について説明が行われた。SATに加え、今年度から国境離島警備隊が設置された。警備隊は、自動小銃を装備しているが、適した訓練場が無いのが課題であるため、自衛隊の射場を利用するなど連携し対応していく必要がある。

 

水産庁も外国漁船の取締りのために、45隻の取締船と4機の航空機を配備している。また、出入国在留管理庁からは、尖閣諸島周辺域で警戒活動を行っている海上保安庁の巡視船に入国警備官を常に乗船させ、海上保安庁及び警察とともに警戒活動に従事しているとの説明があった。

 

2.自衛隊の行動

 

防衛省から、海上警備行動、治安出動、武器使用権限、領空侵犯措置についての説明があった。更に、内閣官房事態室から、グレーゾーン事態への対処について、①無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦への対処②武装集団による不法上陸への③公海での民間船舶への侵害行為への対処の3類型に分け、シームレスに対処するとの説明があった。

 

また、事務局から佐藤が、自衛隊法八十条によって海上保安庁が、警察権の範囲内で、防衛大臣統制下に入ることに関して説明を行った。

3.不審船対応

 

海上保安庁から、平成13年の排他的経済水域内での工作船事件の概要と対処の根拠となる条文の説明、また、不審船対応の流れについて説明が行われた。(その際に回収された北朝鮮製のロケットランチャーや、ハングル文字が刻印された無反動砲は海上保安資料館横浜館に展示されている。)

 

4.漁船対応

 

海上保安庁から、平成22年の中国漁船公務執行妨害の事案、小笠原諸島周辺海域における中国サンゴ漁船の事案について説明が行われた。次に、外務省から、日中漁業協定について、北緯27度以南の水域においては規制措置が導入されていないため、日中各々で自国の漁船を取り締るという取り決めになっているとの説明が行われた。また、日中漁業共同委員会での取り決め(2016年)では、暫定措置水域で操業する隻数は、中国漁船17,307隻に対して日本漁船は800隻、また、漁獲量は中国1,644,000tに対して日本は109,250tとなっている。これは不公平である上に、17,000隻の船は北緯27度以南に押し寄せる恐れがある。

 

最後に、外国人活動家による尖閣諸島上陸事案、防衛省から下甑島における密入国事案の説明が行われた。

 

出席した国会議員からは、「尖閣周辺での海上保安庁、警察、自衛隊など省庁間で合同の訓練をすべき」と求める意見が出た。これに対し、政府は「行っている」との回答。また、「米コーストガードとの合同訓練も必要」と政府に求める意見が出た。これについては「検討する」とのことである。

 

また、「尖閣諸島に対して『実効支配』という言葉を使用すると、まるで領有権が無い様に聞こえるため『有効支配』の方が適切ではないか?」と、政府に求める意見が出た。

 

次回は、石垣市議会の現場の声をヒアリング予定である。今後も国防議連で、尖閣諸島問題に粘り強く取り組んでいく。