1月30日の外交部会・外交調査会合同会議では、アジア太平洋地域に駐在している(韓国、中国、インド、豪州)大使と国連機関大使が集まり、議員との意見交換が行われた。

 

冒頭、駐韓国大使からの韓国情勢について以下のような報告があった。

文在寅政権は、2017年5月に発足後、南北融和と前政権の問題の清算に取り組むことで高い支持率を維持してきたが、最近は経済問題等により下降傾向にある。5年の任期がある文政権にとって、2019年は折り返し地点であり、かつ2020年4月の国会議員総選挙に向けた重要な年となる。政権支持率低下に伴い与党内で不協和音の兆しがある。一方、保守系野党も強い内部対立のため、支持率が回復していない。政府の支持率上昇の糸口としては、南北・米朝関係の改善に期待を寄せている。

 

韓国経済は、低成長期に入った可能性があり、最大の課題は雇用である。政権批判が高まり、支持率が低下する要因となるが、雇用問題の状況改善が見えていない。また、半導体輸出の減速や米中貿易問題の影響が更なる懸念事項となっている。

 

外交面では南北関係が文政権にとって最重要課題となっており、昨年は3回の南北首脳会談が開催された。今後、2月末頃の米朝首脳会談の開催、その後の金正恩委員長の訪韓の可能性もあり、南北協力の進展が注目される。米国との関係では、北朝鮮を巡る動きが続く一方で、厳しい状況が続く韓米駐留防衛費分担交渉の行方が注目される。中国とはTHAAD配備問題をめぐり関係が悪化し、経済的報復は継続されているが、両国関係は改善の兆しがある。

 

席上の議員からは、「昨年末からの諸問題は、韓国側は自国から仕掛けてきた問題であるとの認識はあるのか?三・一運動から100周年のイベントに北朝鮮はのってくるのか?」との質問が出された。また、別の議員からは、「日本国内には韓国に対する厳しい世論があり、速やかな対抗措置をとるべきだ。政府や自民党への評価にも関わる問題だ。大使の召還は必須で韓国に謝罪を求めるべきだ」との意見も出された。

 

駐韓大使からは、「日本側は、昨年の韓国大法院判決があった頃から問題が出てきたとの認識だが、韓国側は日本の対応は度を超しているという反応が出ている。三・一運動については、北朝鮮も南北で一緒にやろうという話が南北首脳会談でも出ている。厳しい状況だが早期の是正と関係の安定化を図りたい」との答弁があった。

 

文在寅大統領は、旧朝鮮半島出身の労働者訴訟をめぐる問題について「韓国政府が作り出した問題ではない」などと述べている。日韓関係の根幹にかかわる問題と知りながら、このまま放置するつもりではないかとの懸念がある。様々な問題が同時進行している為、引き続き韓国側の対応には注視が必要だが、国際法や国家間の約束を尊重する日本の立場に揺るぎはない。これからも毅然とした対応を行っていく。

 

 

 

佐藤学校仮入校(リンク)