16日に開催された国防部会・安全保障調査会合同会議では、今年8月末から行われている「安全保障と防衛力に関する懇談会」の概要・開催状況について、国家安全保障局から説明があり、議員との意見交換が行われた。
 

我が国を取り巻く安全保障環境は、現在の防衛大綱を策定した際に想定したよりも、格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増している。このような認識の下、従来の延長線ではなく、国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を見定め、防衛大綱を見直すこととしており、当該作業に資するため、懇談会を開催。9名の委員の方にお集まり頂いている。8月29日、9月21日、10月2日、10月19日とこれまで4回の懇談会が開催されたところだが、懇談会は、年末までに6回程度開催が予定されている。

 

懇談会では、国際環境や同盟関係、日米関係、科学技術、将来の防衛力に関することや人的基盤、サイバー、グレーゾーンなど多岐に渡る分野について意見が出されている。いくつかピックアップしてみよう。

・安全保障の基本は自力であり、同盟について我が国自身でどうするかを議論することが重要。

・陸海空、宇宙、サイバー、電子戦といったクロスドメインで考えることが必要。

・装備品は、それを支える後方支援や人があって初めてしっかり機能する。

・軍事面だけで評価するのではなく、政治的、経済的評価やジオエコノミクスの考え方への対応も重要。

・戦争の戦い方が、ハイブリッド戦に本質的に変化。平時と有事、軍事と民間の区別を曖昧にするものであり、我が国の防衛にとって大きな挑戦。

・我が国の防衛体制につき、北、南、西を重視するだけでなく、太平洋側の重要性についても強調していくことが必要。

 

席上の議員からは、「戦闘で負傷した際の止血や自衛官への止血キットの配布、応急処置の訓練など戦闘でのリアリティを追求することが重要だ。」また、「少子高齢化が進み、募集も大変厳しい。これから自衛官になろうという人にインセンティブが働くような制度設計が必要だ。プレイヤーがいて初めて国防政策が実現できる。」といった様々な意見が出され、活発な会議となった。

 

科学技術を生かした省人化・無人化は、将来民間の産業においても防衛装備においても進むだろう。実際に街の食料品店では省人化・無人化したレジの導入が進み、新型の護衛艦では従来よりも省人化した設計となっている。しかし、マンパワーは防衛力を構成する最重要の要素であり、自民党国防議員連盟の事務局長としても、大綱において特に重視していきたい部分である。

 

 

 

 

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