佐藤が公務で海外出張中の為、昨日、自民党本部で行われた国際部勉強会の様子を秘書から皆様に報告いたします。慶應義塾大学法学部教授の細谷雄一氏を講師に迎え「東アジアの国際情勢と日本の対応」について講義して頂きました。

 

国際秩序が保たれる条件として、均衡、協調、共同体の3つが必要であると言われている。しかし、中国の急速な台頭とアメリカのリーダーシップの後退により「均衡」が崩れ、法の支配、人権、リベラリズムの後退により「協調」も崩れている。また、ナショナリズムやポピュリズムが台頭し、価値や規範の共有が困難な時代となり「共同体」の体系も崩れた結果、南シナ海やクリミアでは力の無い正義は踏みにじられている。

 

日本はロシア、中国、北朝鮮という核保有国に囲まれて、ロシアと中国とは領土問題を巡る摩擦があり、北朝鮮は日本への攻撃的な意図を示している。中国は経済成長にあわせて急激な軍拡を進めており、他方でアメリカの同盟国への保証が不透明化している。日本は国力の限界から、防衛力増強には限界がある。また、急激な科学技術の進歩の中で、従来の日本の技術的な優位に陰りが見えている。

 

日本はアメリカや中国と対等な規模と能力をもつ防衛力を保持することは困難であることから、日本独自のアプローチによって、地域的な平和や安定に貢献する必要がある。つまり、パートナー諸国との安全保障協力の強化、「法の支配」の確立の為の法整備支援、航行自由の確立、能力構築支援、人道支援、災害復興援助などを通じた国際協力と国際貢献を進めることが重要である。

 

北朝鮮の挑発的な行動や中国の海洋進出に対し、日本単独で対処することは、これもまた困難である。日米同盟強化によって、アメリカのアジア関与の継続と日本のより一層の対米支援が不可欠となる。その上で、日本が自助により、より一層の貢献と責任を負担することが必要である。米中間での取引によって、日本の国益を損ねるような合意を新たにつくらせないようにすることが死活的に重要である。

 

最後に「あらゆる国との友好を求めながらも、他者の善意に依存して平和を維持する時代は終わった。外交には毅然とした態度とあらゆる事態に対応する柔軟性が重要」と細谷教授は講義をまとめた。

 

出席した議員とインドとのパートナーシップや中国の一帯一路に関して意見交換がなされ、1時間の勉強会は終了した。

 

 

 

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