「やること、成すこと、予想がつかないトランプ大統領!」と思われがちだが、実は意外とわかりやすい行動原理がある。

 

5月10日の自民党国際部の勉強会では、上智大学教授の前嶋和弘氏を迎え、トランプ政権についての講演頂いた。講演の要旨は以下の通り。

 

トランプ大統領の支持層と不支持層の比率を統計で見てみると、共和党支持者は約 割から 割がトランプ大統領を支持している。一方、民主党支持者でトランプ大統領を支持する人は、 割未満である。支持、不支持の割合は 2017 月以来現在に至るまでほとんど変わらないことを示しており、米国が完全に分極化していることがうかがえる。

 

ここまで分極化してしまうと、トランプ大統領は事実、自分を応援してくれる人に徹底して利益を還元するという行動をとるしかなく、不支持層は無視していると言ってよい。

 

鉄・アルミの関税については、代替が困難な高品質な日本製の鉄・アルミ製品のコストが高くなる為、それらを利用している米国製造業には困る人も出てくる。しかし、トランプ大統領は、錆び付いた工業地帯(ラストベルト)にいるトランプ支持派の白人労働者の為になると信じ、通商問題として取り上げているのである。

 

また、アメリカ南部には聖書の内容を信じている(キリスト教福音派)の人が多く、こうした人々は、聖書に記載があるようにイスラエルの首都はエルサレムであり、現実にもそうあってほしいと願っているのである。トランプ大統領は、キリスト教福音派の支持を得ており、この人々の為に、エルサレムに大使館の移転を決定した。必ずしもアメリカ人全体の約4%を占めるユダヤ人の為に行ったことではないのである。

 

自分の支持層に徹底した利益還元をするというトランプ大統領の行動原理が分かれば、意外に分かりやすいとの前嶋氏の指摘も参考にしながら、米国の内政に引き続き注視して参りたい。

 

 

 

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