「最新の北朝鮮情勢について」と題して、慶應義塾大学准教授、磯崎敦仁氏の講演があった。講演の要旨は以下の通り。
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今年の元旦に金正恩委員長は、「新年の辞」で南朝鮮での冬季五輪に言及し、「わが民族同士」を連呼し対話を呼びかけ始めた。北朝鮮としては、まず、3月6日に韓国特使と対話し、米国とも事務レベルから段階的に対話をしようと企図していたようだ。

しかし、3月8日にトランプ米大統領がいきなり米朝首脳会談を受けてしまったことは、北朝鮮側の誤算であったように思う。その証拠に、電撃的に行われた3月26日の中朝首脳会談では、「米韓が段階的な同時措置をとれば、半島の非核化問題は解決できる」との発表が中国側からあった。

 

今年建国70周年を迎える北朝鮮としては、初の米朝首脳会談は最大でチャンスである。トランプ米大統領やボルトン安保担当補佐官が非核化にこだわるのであれば、彼らが納得する形で、非常に短期間の内に話しが進む可能性がある。

 

北朝鮮は、「アメリカは、北朝鮮が核を持っているから攻撃ができない」のではなく、「同盟国である日本と韓国が人質になっているから攻撃ができない」ということに気が付き始めている。日本と韓国を攻撃できる能力があれば、金正恩委員長は、この先50年間、北朝鮮を率いていく為に、南北共存と経済の発展を目指し、ここで核を放棄する選択をする可能性がある。

 

北朝鮮としては、アメリカに体制の安全を保障してもらうことが最大の目標である。その「安全装置」として、アメリカとの平和協定締結のみならず、国交正常化による外交使節の交換や、核査察の受入れで米国人が北朝鮮に常駐することを提案してくると思う。

 

日本の対北朝鮮貿易額は、2010年以降の制裁で「ゼロ」であるのに対し、北朝鮮の対中貿易額は、2000年から2014年の間、5億ドルから70億ドルに増えており、制裁は全く効いていない。外交目的を達するためには、制裁だけではなく手段は柔軟であってほしいと思う。
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来週は、安倍首相が訪米し、日米首脳会談が行われる。一方、北朝鮮はまだ非核化に向けた行動を何もしていない。佐藤は外務副大臣として、前のめりになることなく、北朝鮮の出方を慎重に見据えながら、日米韓の連携を中心に、結果を求めていきたい。何より結果を出すことが大事だ。
拉致被害者家族会も、結果が出ない日朝首脳会談には反対だ。

 

 

佐藤学校仮入校(リンク)