本日、自民党本部にて国際局外交関係勉強会が開催され、「最新の朝鮮半島情勢」と題して慶應義塾大学名誉教授の小此木政夫氏の講演があった。講演の要旨は以下の通り。

 

昨年末までの約2年間、核兵器と弾道ミサイルの実験を継続した金正恩委員長は、11月末に「国家核武力の完成」を宣言し、瀬戸際外交を行っていた。しかし、本年の「新年辞」以後、凍結状態にある南北関係を改善するため、平昌五輪への参加を決定した。現在は、瀬戸際外交からUターンして、融和政策的な外交を展開していることに注意しなくてはならない。北朝鮮は先に南側の韓国を取り込み、その後で米国との対話にあたる「先南後米」政策に全力をあげており、かなりのところまで進展している。

 

4月末に南北首脳会談が予定されるが、このタイミングはパラリンピックが終わった直後で、米韓合同演習が行われている最中と思われる。今回の米韓合同演習に北朝鮮は反発せず、融和的姿勢で米国との対話を求めていくだろう。韓国側は、北朝鮮と米国の対話の仲介をし、ゲームの主導権を取りたいという意思がある為、南北共同で米朝対話の設定に動くのではないだろうか。北朝鮮は、今年9月9日に建国70周年記念を迎える。その前にトランプ大統領を対話に引っ張り出す為に様々な形で動いてくるだろう。

 

関係国が北朝鮮非核化の目標を堅持しつつ、十分な抑止と柔軟な封じ込めを維持することこそ、実行可能な北朝鮮政策だろう。長期的には、南北間の交流、共存、和解を促進し、北朝鮮の経済開放と体制返還を促すことが重要だ。安定的な南北共存が非核化のための土台となるだろう。

 

これまで北朝鮮は瀬戸際外交と融和外交を交互に展開し、「非核化」を交渉カードに、国際社会に見返りを求め、核・ミサイル開発の時間と原資を稼いできた。佐藤は外務副大臣として「最大限の圧力」を緩めることなく、引き続き情勢を注視していきたい。