渡辺秀明前防衛装備庁長官を招き、「我が国の防衛力を支える装備・技術のあるべき姿」と題し講演を行って頂いた。

 

講演要旨は以下の通り。

 

わが国では、3年前から防衛装備庁を創設した。佐藤も創設に尽力した一人である。防衛装備庁では、次の4つの方針を打ち立て、防衛力の強化を図っている。(1)厳しさを増す安全保障環境を踏まえた技術的優越の確保、(2)防衛装備品のハイテク化・複雑化等を踏まえた調達改革、(3)諸外国との防衛装備・技術協力の強化、(4)防衛生産・技術基盤の維持・強化

 

しかしながら、防衛省における科学技術関係予算は他省庁に比べ少なく、他国と比較しても同様で、隣国の韓国の半額程度である。また、装備品の調達数も減少しており新規装備の取得が困難となっている。

 

したがって、国内の防衛技術・生産基盤を活性化させるためには、装備移転を推進していく必要がある。各国の状況に応じた情報収集や人材育成を進めるとともに、官民一体態勢の強化が必要だ。例えば、装備移転専門会社を設立するなど、政府と協力しながら柔軟に動ける組織があった方が良い。

 

また、技術や生産基盤は空白期間が長引くと失われる。特に戦闘機では、それが心配されており、「国内」でのエンジン開発などは継続的に推進していかなければならない。

 

現在、防衛大綱及び中期防衛力整備計画の見直しを行っている。これらのことを踏まえ、科学技術の競争に負けない計画を策定していかなければならない。