本日、党本部にて「安全保障調査会勉強会」が開催され、元航空幕僚長の齊籐治和氏を講師に迎え、「 元運用者:戦闘機乗りの視座からの私的展望」 としてご講演頂いた。講演の要旨は以下の通り。


 周辺国の兵器が長射程化し無人機も登場してきた。 航空機や巡航ミサイル、 弾道ミサイル等による同時多数攻撃に対し、 守る側はより複雑化した状況に対応する時間的な余裕の無さをいか に克服するかが焦点となっている。
 米軍では、IAMD:Integrated Air & Missile Defense(統合対航空・ミサイル防衛) というネットワーク化した指揮統制システムのもと、 最も効果的で効率的な作戦の運用概念を構築しつつある。
 新たに導入する第5世代戦闘機F-35は、 搭載兵器の種類と量が少ない為、第4世代戦闘機F-15と相互ネットワークで運用できる措置を推進することも重要だ。 電子戦における優位性は、量的・質的劣勢を補完する機能がある。 情報収集、分析能力を高めるため、電子戦機・ 電子戦機器の導入が必要である。
 対領空侵犯措置を巡る法制上の提案として、 領空侵犯機の侵害の態様によっては、 最終的には武器を使用して当該機を排除し、 領空の主権を守るという国家意思を法律で示す必要があることを提 言したい。

 

 佐藤からは、IAMDシステムを仮にそのまま日本に導入するのではなく、 日本版IAMDを速やかに構成し、 米軍のシステムとのインターフェイスを作るべきとの意見を表明し た。また、自衛隊法には「航空警備行動」 のような規定が抜けてしまっていることを指摘した。

 齊藤氏からは、「米軍の弾道ミサイル防衛では、 事前に部隊毎の迎撃の役割が決められているようだ。 日本ではNECのシステムに地上レーダーの情報やイージス艦の情報が送られて、 指揮官が最適なものを見て指揮しており運用の発想が異なっている 。航空警備行動の規定がないのはその通りだが、 国際的にも存在しない。例えば英・仏・ 伊の空軍はロシア機に対し、スクランブルで対応している」 とのコメントがあった。

 参加した約40人の国会議員から多数の質問やコメントがあり、 齊藤氏と活発な意見交換が行われ、勉強会は終了した。