本日、党本部にて「安全保障調査会勉強会」が開催され、イラクで共に働いた元西部方面総監の番匠幸一郎氏を講師に迎え、「これからの防衛戦略と防衛力の在り方に関する私見」としてご講演頂いた。講演の要旨は以下の通り。
 

日本列島はユーラシア大陸と太平洋という要衝を抑える地政学的・戦略的に重要な場所に位置し、対朝鮮半島、対中国、対ロシアの3正面に備えることは、日本の歴史的宿命でもある。現在、戦後最大の危機に直面する日本の状況は、日清戦争前夜の戦略環境に類似していると認識している。

現在の防衛大綱は、平成25年に策定されたものだが、環境条件が大きく変わった。宇宙・サイバー・電磁空間などの新たな脅威と軍事環境に対処する為、新たな防衛戦略策定の必要性が生じている。

自衛隊の運用上の見地からは、統合運用の一層の推進、南西防衛体制の強化、水陸両用戦闘能力の強化などが必要である。また、少子高齢化社会における人材確保、教育、処遇も課題となっている。備蓄・補給整備などの「継戦能力」と、様々な攻撃から防衛力を維持する「抗堪性」は、今後、すべての作戦におけるキーワードとなっていくだろう。法制面では、例えば、弾薬の運搬・集積、船舶・鉄道輸送などの法的制約の緩和を国会議員にはお願いしたい。

軍事力の本質はパワーであり、「優勝劣敗」が軍事の真理である。戦後最大の危機に直面する今、必要性に基づいて、抜本的な防衛力の強化・充実が必要な時である。

 

国連平和維持活動(PKO)への日本からの参加人数が、現在南スーダンへ派遣中の4名のみであることに触れ、佐藤からは、今後のPKOへの取り組み方について番匠氏にコメントを求めた。番匠氏からは、「確かに人数は減っており、今後、活性化してほしいと思っている。人数を出して汗をかく貢献も大切であるが、物的な貢献や司令官としての参加の他、国際機関で活躍する場もある。貢献の方法や場が多様化している。」とのコメントがあった。

参加した約40人の国会議員から多数の質問やコメントがあり、番匠氏と活発な意見交換が行われ、約30分延長して勉強会は終了した。