本日、参議院自民党朝鮮半島戦略研究会において、元自衛艦隊司令官 香田洋二氏を講師に迎え、最新の北朝鮮の軍事情勢について講演が行われた。香田氏の講演の概要は以下の通り。
 
 
 
北朝鮮問題の本質とは、国際社会が北朝鮮の核保有を黙認した場合、中東諸国や南米諸国で核保有の動きが始まり、複数の国家が核を持って暴れ始める時代を人類社会が迎えてしまうかもしれないことにある。場合によっては、偶発的衝突や指導者の感情的高ぶりによって核兵器が使用され、人類社会が地獄をみる可能性がある。
 
 
 
今後の北朝鮮のオプションとしては、以下のようなものが考えられる。
 
  1. 時期を見た火星12型・14型(3,500km級・8,000km級)の長射程発射
  2. 潜水艦発射弾道弾(北極星3型)の発射
  3. 3段式ICBM火星13型(1,4000km級)の初試射
  4. 固体燃料新型ICBM (10,000km) の初試射
     
    20163月のICBM弾頭容器の燃焼試験(大気圏再突入技術試験)20166月のロフテッド軌道によるムスダン発射(高度1400km)、20169月の核実験を受け、米国は201610月にB-2爆撃機による航空機搭載型の核爆弾B-61の模擬弾の投下訓練を行っており、場合によっては、核の使用も辞さないとのメッセージを北朝鮮に対して送っている。同様なB-61の模擬弾の投下訓練は、20174月、20176月にも行っており、新華社通信やアメリカのメディアでは取り上げられているが、日本のマスコミではほとんど取り上げられなかった。
     
    北朝鮮の核・ミサイル問題はクリントン政権の時代から23年間に渡って対話が続けられ、今後も対話を継続する努力をすべきである。しかし、北朝鮮が対話を拒否した場合や対話をしても結論が出ない場合には、軍事作戦の発動が避けられない状況になるかもしれない。
     
    マティス国防長官は、韓国に被害のない作戦を用意しているとの発言があったが、米国はいくつかの軍事作戦を既に準備していると思われる。その作戦は、開戦直前のサイバー攻撃、レーダーサイトへの電子攻撃に始まり、深夜未明の1,2001,500発の巡航ミサイル攻撃、北朝鮮北部は空母艦載機、南部は韓国空軍、在韓米軍、在日米軍、グアムからの航空攻撃が行われるものと思われる。地下の軍事施設については、出入口や空気取り入れ口など脆弱な部分の精密誘導弾で攻撃することが考えられる。
     
    日本政府としては、できるだけ武力ではなく外交的手段での核、ミサイル問題の解決を模索するが、米国による武力攻撃がなされた場合の邦人救出など、具体的準備を急がねばならない。