国連を始めとした国際社会では、各国の思惑が入り乱れ、時には難癖に近い議論をふっかけられることもある。2015年末に日本と韓国の間で合意した日韓合意に対して、5月12日に国連の拷問禁止委員会から合意見直しなどの勧告が成された。この点について、自民党の国際情報検討委員会においてこれまでの経緯を振り返った。

 

 この拷問委員会は個人資格で参加する10名によって構成されており、ここで成された勧告は国連の公式見解ではない。また、法的拘束力もない。内容においては、「性奴隷(sexual slavery)」など事実と異なる表現が使われ、既に日韓間で合意及び実施済みの事案をひっくり返すようなことが述べられているなど、事実誤認が数多い。既に日本政府はこのような勧告に対して反論しており、その内容は国連のホームページに掲載されている。不条理な攻撃に対して即座に反論し、日本の立場を主張する意味で、日本政府はしっかりと対応したと思う。

 

 しかし、一方でこういった根拠のない主張に対して、今後どのように反論するべきか再考した方がよい。今回のように政府が前面に出て強硬に反論することで、むしろ相手の術中に嵌まってしまう可能性はないか。相手は、日本政府がムキになって反論してくる状況を待ち構えている可能性もあるからだ。こういった場合は、NGOや学者の力を借りて、彼らから反論してもらうなど緻密な戦術が必要になってくる。政府が前面に立つかどうかはその時の状況によるため、一概にどちらが正しいとは言えない。時と場合によって「喧嘩」の仕方を工夫しながら、日本は自国の主張を通していかねばならない。

 

http://www.sankei.com/world/news/170523/wor1705230003-n1.html