3月28日(火)、超党派で作る日米欧総合安全保障議員協議会において、NATO情勢について元防衛大臣・森本敏氏からお話を伺った。

 

冷戦終結後、対ソ連同盟としてのNATOはその役割を終え、徐々に縮小されていくと期待されていた。しかし、東からはロシアが、そして南からは中東北アフリカから来るテロリストや難民が押し寄せる中、NATOは欧州安全保障にとって引き続き重要な意義をもっている。特に対ロシアについては、NATOが東方拡大していく中で緊張が高まってきた。

 

ロシアから見ると、東欧やバルト三国はかつての勢力圏である。しかし、冷戦終結後に続々と独立し、その後NATOへの加盟を果たすに至った。そのためロシア側には、強い怨念が未だにあるようだ。したがって、ウクライナのNATO加盟はロシアの核心的利益の侵害となり、ロシアにとっては絶対に許容できない一線だ。

 

また、NATO側にとってウクライナを入れることは、ウクライナがロシアに攻撃された場合に、自動的に共同防衛義務を負うことを意味する。そのため、ウクライナ加盟はNATOにとって非常にリスクがあるため、ポーランドやバルト三国に軍を配置することでロシアを牽制しているのが現状である。

 

イギリスのEU離脱は、NATOの中におけるイギリスの役割をどう変容させていくのだろうか?またトランプ政権との関係は今後どう推移していくのか?あまりにも先行きが不透明であるため、佐藤はNATO情勢にもしっかりと注意を払っていきたい。