3月15日(水)、自民党・外交部会・外交・経済連携本部合同会議において、一時帰国されていた各国駐在大使(中国、韓国、インド、オーストラリア、フィリピン、ミクロネシア)の方々から、現地情勢と対日関係等についてお話を伺った。

 

 インド、オーストラリア、フィリピン、ミクロネシアの4ヶ国については、各国の経済成長や内政の状況などで違いはあるものの、我が国はこれらの国々と友好関係を保っており深刻な懸案はない。特にオーストラリアやインドとは首脳間の信頼関係が出来上がっており、意思疎通は円滑だ。そのため、日本にとっては対中国・韓国との外交に、より神経を使わざるを得ない。

 

 今秋の中国共産党第19回全国代表大会に向けて習近平主席は、主要なポストに腹心を抜擢しながら、自らの権力基盤を着実に固めている。この一連の流れは習近平の「核心」化と呼ばれている。また徹底した党管理と反腐敗を利用して、中央集権化が進められている。党中央への「高度な一致」を要求しているが、簡潔に言ってしまえばトップへの服従だ。党大会の成功と権力基盤の安定は直結しているため、対外的には習近平主席の面子を潰すような妥協は期待できそうにない。

 一方で、中国国民の日本に対する関心は依然高く、大勢の訪日観光客はもちろんのこと、ベストセラー書籍の2~3割を占める日本関連本や歌舞伎公演チケットの完売など、政府間関係と国民レベルの意識に差があることには注目する必要があるだろう。

 

 韓国については、1月上旬から一時帰国中の長嶺大使から説明をいただいた。この2ヶ月は、毎日ソウル日本大使館から報告を受けながら、東京で勤務している。韓国内政は現愛深刻な機能不全に陥っているが、この流れは昨年4月の国会議員選挙で与党セヌリ党が惨敗し、朴前大統領がレームダック化した時点で出来上がっていたそうだ。

 次期大統領選挙は野党「共に民主党」の候補者が圧倒的に優位な情勢ではあるが、新政権がどのような対日観をもっていようとも、我が国は慰安婦像や竹島問題で国益を譲ってはならない。

 しかし、対北朝鮮では韓国との連携は必須であり、対韓外交は今まで以上に難しいかじ取りが求められている。