3月3日(金)、デロイトトーマツコンサルティング合同会社の米国専門家2名から、トランプ政権の動向について話を伺った。ここでは「米国リバランス下におけるアジア太平洋地域での日本の新たな役割に関する研究会」の下で、継続的に米国の動向を追いながら日本の役割を考えている。

 

トランプ政権の今後の動向を予想することは非常に難しいが、外交政策については従来の現実的な方向性に徐々に軌道修正されている。トランプ政権が打ち出した「100日プラン」はオバマ政権時に出された大統領令破棄、200万人を超すと言われている不法移民の国外追放、税制改革など、大半は国内政策だ。これらは大統領選挙でトランプ氏に投票した支持層を意識したものと言われており、相対的に外交政策が後回しになっている。しかし、それが故に外交政策については世論の注目が高まらないため、無難で現実的な政策へと収斂しているようだ。

 

面白い視点としては、TPPの意義はまだ失われていないということだ。トランプ大統領はTPPから真っ先に離脱を表明したものの、米国が今後も今の経済規模を維持しようとするならば、TPPで合意した様々な取り決めが必須条件になるという。そのため国内世論を納得させるために名称を変えるなど修正した上で、実質的なTPPの枠組みを復活させることもあり得るという。

 

まだトランプ政権発足して40日あまりしか経過していないため、政策の方向性を断定することは出来ない。しかし、様々なシナリオを準備しておくことで、日本の進むべき道をいち早く見つけることができるはずだ。佐藤は、今後も米国の動向を注視していく。

 

https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/public-sector/articles/gv/asia-pacific-defense-outlook-2016.html