2月24日(金)、安全保障調査会・国防部会合同勉強会において、元防衛大臣で拓殖大学総長の森本敏氏をお招きして、今後の防衛力のあり方についてご講演いただいた。今津安全保障調査会長からは冒頭のあいさつで、森本氏は民主党政権時に防衛大臣を務められた経緯はあるものの、党派を超えて日本の防衛について議論を重ねてきたエピソードが紹介された。

 

 北朝鮮の核・ミサイル開発と中国の海洋進出は、日本にとって大きな脅威である。今秋、中国では第19回共産党大会が開催されることから、外交面ではより強硬になる可能性が考えられる。また、北朝鮮指導部内の動向や韓国内政の停滞が、朝鮮半島の混乱に拍車をかける可能性も考えられる。米中は経済問題では妥協点を見いだせても、南シナ海・東シナ海、サイバー攻撃、THAAD配備などの安全保障分野では、お互い譲歩できる余地は限りなく小さい。この様な点から、日本の防衛力強化は避けられない、というのが森本氏の議論の前提であった。

 

 その上で日本がやるべきことは沢山あると森本氏は指摘したが、その中でも海上保安法25条の改正は重要な指摘だ。25条には「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない」とあるが、これを改正し、海上警備行動発令後に海上保安庁の活動を統合任務部隊の指揮監督下に編入するというのだ。中国の海洋進出に対抗すべく海上保安庁強化の必要性が叫ばれる中、まずは法律の文言を変更することで、より機動的な海上保安庁を実現するということだ。

 

 党内の防衛意識向上が、国民全般の防衛意識向上につながるはずだ。そのためにも今後も多方面から意見をいただき、今後の日本の防衛の在り方を考える勉強会を続けていきたい。