7月27日(水)、外交・国防合同部会が開催された。議題は、地位協定と南スーダン情勢の2つであった。

まず、日米地位協定における軍属の範囲の見直しについて。


沖縄で発生した、いわゆる米軍属による殺人事件を受け、7月5日、日米両国は、軍属を含む日米地位協定上の地位を有する米国の人員に係る日米地位協定上の扱いの見直しに関して協議し、共同発表を行った。


今回のポイントは4つ。軍属の範囲の明確化、通常居住者の(軍属からの)除外、(軍属に関する)地位のモニタリング、そして教育・研修の強化である。


特に重要な「軍属の範囲の明確化」については、今後、次の4つの分類に当てはまる者が「軍属」に含まれ得ることとなった。


・米国政府予算の予算により雇用される者
・船舶等の乗組員
・米国政府が雇用する者
・技術アドバイザー及びコンサルタント等


ここで、「技術アドバイザー及びコンサルタント等」の定義が不透明であり、範囲の明確化を阻害する懸念もあるが、今後、職能を特定することで日米両政府は合意している。なお、今回の事件の主犯であるシンザト被告人は、新しい範囲では軍属には当たらない。


今回の見直しに関し、佐藤からは次の2点を政府側に要望した。


1点目は、地位協定を議論する際、「自衛隊の地位協定」についても表裏一体のものとして議論して欲しいということ。実際、佐藤がイラクに派遣された当時は、「軍人」としての地位協定がない状態であり、文民のものを準用していた。しかし、平和安全法制によって、限定的ではあるが、法的に多国籍軍に参加できるようになった今、この点は真剣に議論する必要がある。


2点目は、軍属の指定権者を明確にすること。今回の日米合意では、軍属の範囲の明確化が謳われているが、その軍属を誰が指定するのかによって、重みも異なってくる。


なお、運用改善という実態を踏まえれば、ドイツや韓国の地位協定に劣るものではなく、むしろ我が国に優位な内容であるという事実、政府も政治家も明確に伝えていくべきだと佐藤は考えている。


次に、南スーダン情勢について。


7月以降、ジュバ市内の治安情勢が急激に悪化したことを受け、7月11日、政府は航空自衛隊のC-130輸送機を3機、アフリカに派遣した。拠点としたのは海賊対処部隊が展開するジブチである。(ちなみに、佐藤は日本・ジブチ友好議員連盟の事務局長を務めている)


7月14日、輸送命令が発出され、ジブチを発った輸送機はジュバに入り、大使館員4名を乗せてジブチに無事帰還。その後、7月22日に撤収命令が下り、26日、全機全隊員が無事に日本に戻った。


なお、一部にあった、南スーダンで退避邦人を陸自車両で輸送すれば初の事例とする報道は誤りである。既に自衛隊がイラクに派遣された際、サマーワから近郊の空港まで約2時間をかけて邦人を車両輸送している。


今回の部会で扱った議題は、自衛隊の海外派遣に関係するものであった。実際に海外派遣を経験した者として、地位協定や海外派遣を伴う課題については、今後も力を注いでいきたい。

佐藤学校仮入校