本日3月30日(水)、党安全保障調査会・国防部会合同で開催された中国情勢の勉強会に参加した。「毛沢東―日本軍と共謀した男―(新潮新書)」の著者で知られる遠藤誉さんから、直接お話を聞ける貴重な機会となった。


しばしば「血の友誼(ゆうぎ)」と形容される中朝関係だが、遠藤先生の見立てでは現在の二国関係は危険水域に達しているとのことで、中国が北朝鮮に攻め入るシナリオも囁かれているそうだ。また北朝鮮の核施設が中朝国境近くに集中していることから、中国側は自国領への放射能汚染に深刻な懸念を持っているとこと。そのような経緯から、中国共産党の指導層は金正恩第一書記に対して怒り心頭で、「あの若造」と呼びつけているそうだ。


本講演で遠藤さんが最も強調したのは、日中戦争中の毛沢東と日本軍との協力関係だった。詳細はご著書に譲るが、国民党軍に対して優位を保つために毛沢東は日本軍と良好な関係を維持していたというのだ。だからこそ1949年の中華人民共和国建国後も、いわゆる「南京大虐殺」を歴史的事実として主張したことはなかったし、抗日戦争記念を祝ったこともなかった。日本軍の主敵が国民党軍であったことを考えれば、当然のことであろう。


佐藤からは、中国の国内経済改革と軍改革の見通しについて質問した。10万社ともいわれるゾンビ企業の存在が中国近代化への大きなお荷物となり、軍改革においては既得権益喪失を懸念する守旧派の抵抗が激しく、これら改革が順調に推移する保証はない。しかし習近平国家主席はこの改革に政治生命をかけているようで、自分自身が中国の「ゴルバチョフ」として現体制最後の指導者になることを心底恐れている。この権力喪失への恐れこそ、現体制の改革欲の源泉なのだと言う。中国の現況と今後の見通しについて、遠藤さんと認識を共有でき大変意義深い機会であった。