1月29日(金)、
日本の防衛生産・技術基盤を担う方々の現場の声に触れるべく、
三菱重工の相模原製作所と
洞菱工機(どうりょうこうき)を訪問した。

目にした試作品の可能性に心が躍り、
現場で汗する関係者の方々の情熱に感動した一日。

まず足を運んだのが、
三菱重工の相模原製作所。

神奈川県の相模原市にあり、
戦車を造っていることで有名だ。

今回目にしたのは、
水陸両用車の試作機。

この性能が、凄い。
特に水上速力は圧巻。

護衛艦を造り、
潜水艦を造り、
自動車のエンジンを造り、
戦車も造る。

そんな三菱重工ならではの強みが
存分に発揮された試作機だった。

この水陸両用車の可能性には
大いに期待したい。

周知のとおり、
水陸機動団を新編する陸上自衛隊は、
米国からAAV-7水陸両用輸送車を調達する。

AAV-7は世界10カ国以上で使用され、
湾岸戦争にも投入された、ベストセラー。

一方で、1960年代に開発が始まった相当古い装備品でもある。
設計も古く、整備にも相当な負担がかかる。

そして何より問題なのは、
AAV-7は、米国から調達するため
何両導入しようと、
いくら予算を投じようと、
日本の企業には恩恵がないこと。

むしろ今は、外国製の装備品に予算が割かれることで、
日本の防衛生産・技術基盤へ振り向けられる予算が圧迫されている。

つまり、一見、新しい装備品を取得し、
防衛力が高まっているかのように見えても、
実際には、国内企業が苦境に立たされ、
国内の防衛生産・技術基盤が揺らいでいるという一面がある。

相模原製作所の次に足を運んだのは、
そんな苦しい状況の中で懸命に頑張っている
“町工場”、洞菱工機(どうりょうこうき)。

戦車や高機動戦闘車(MCV)などの部品の製造を手掛けている
いわば、「縁の下の力持ち」だ。

洞菱工機は、社員約30名。
しかし、高精度・高品質の製品は、
確かな信頼を得ている。

会議室の前には、
同社の部品が使われている戦車など数々の自衛隊の装備品の模型が
綺麗に展示されており、
誇りを持って防衛生産・技術基盤の一翼を担っていることがよく分かる。

ただ、こうした町工場は、
大切な生産ラインを、
装備品用の特殊な部品の製造に当てているため、
一般論として、防衛事業への依存度も高い。

また、大企業と違い
ある部門の苦境を別の部門の努力で補填する
というようなこともできない。

よって、防衛予算の増減の影響をもろに受けることになる。
維持整備も含めて国内企業が関与できないような
海外の装備品を調達するということは、
その分、国内企業が関われる予算的余地も奪うことになる。

防衛予算の削減が続いた数年前まで、
そして、海外装備品の調達が増えている今、
国内の防衛生産・技術基盤の「縁の下の力持ち」である“町工場”は
まさに苦しい状況が続いている。

「国を守ることに、微力ながら貢献できれば」(会長談)

そんな気概で事業を担う洞菱工機などの“町工場”が
不安なく、防衛事業を担える環境を整えることは急務である。

装備品は揃えれば良いのではない。
使えなければ意味がない。

使い続けるためには、
継続的にメンテナンスをし、
必要であれば改良や改造を円滑に施さなければならない。

そのためには、
技術を持った国内企業が、
事業に参加できる環境を整えなければならないのだ。

そうした意味で、やはり、「国産」は重要。

もちろん、
予算的制約を抱え、
実戦経験もなければ、
実戦に基づいたデータの蓄積もない日本が
あれもこれも「純国産」とすることは不可能。

それでも、国際共同開発・生産やライセンス国産も含め、
「国産」という方向性自体は追求する必要がある。
何故なら、防衛生産・技術基盤あってこその「防衛力」だからである。

強固な防衛生産・技術基盤を育むために、
佐藤はこれからも力を尽す。

佐藤学校仮入校