12月4日(金)、
佐藤が事務局長を務める、
国防議員連盟が開催されました。


本日の議題は
平成28年度防衛予算と平成27年度補正予算、
シリア・イラク情勢です。


なお、今日の会合には
防衛装備工業会からも参加を頂き、
弾火薬部会長(ダイキン工業)
弾火薬部会幹事(日本工機)
という企業関係者の出席も得ることができました。


さて、まずは予算に関する議題について。


今日は最初に
平成28年度予算における
陸海空各自衛隊の予算の構造を確認しました。


例えば、陸上自衛隊。

オスプレイを米国から12機調達するため、
「航空機」に関する予算は、
対前年度比921億円の増額となっています。


一方、
「弾薬」に関する予算は、
対前年度比112億円の減額となっています。


実はここ数年、
海外調達装備品が増えています。


特に平成27年度は
対前年度比3,151億円、
伸び率にして2.5倍。


実はこの点にこそ、
深刻な問題が内在しています。


「海外調達装備品」は、
その名のとおり、
諸外国から調達する装備品です。


つまり、
調達のための予算は、
国内企業ではなく、
海外企業に落ちることになります。


防衛予算の額が大幅に伸びない中、
海外向けの予算が増えるということは、
国内向けの予算が減るということです。


実際、陸上自衛隊の「弾薬購入費」は、
平成26年度と平成28年度予算案を比べると、
2年間で30%減少することが見込まれています。
金額にして200億円です。


外国から“大きい物”を買うために、
国内から“小さい物”を買う予算が大幅に減っているのです。


ここがポイントです。


実は弾薬業界は
「分業生産体制」をとっており、
最終組み立てを担う大手のプライム企業の下に
部品や火薬類の製造を担う中小のベンダー企業が複数関係しています。


ベンダー企業の多くは、
防衛事業に対する依存度が大きい
いわゆる中小企業。


例えば、
機関砲の弾薬の製造や爆薬の製造を担う
「日本工機」の場合は
約8割が防衛事業です。


2年間で30%もの予算が減らされるということは、
こうした企業の経営に危機的かつ直接的な打撃を与えます。

現状、各企業は人員削減等の措置により
固定費を削減し、収益改善に努めています。


しかし、
こうした状況では熟練工の維持も厳しく、
ましてや後進の育成などは手も回りません。
先細る一方です。


分業生産体制をとっている以上
ベンダー企業が一社でも撤退・倒産すると、
“弾”そのものが製造できなくなるのです。


“弾”を自国で造ることもできずに、
どのようにして、この国を守るのでしょうか。


こうした状況が続くことは
何としても食い止めなければなりません。


今日の会合では
そうした危機感を
参加して下さった先生方などと共有しました。


次にもう1つの議題である
シリア・イラク情勢。


現在、対IS包囲網は、
米国主導とロシア主導の2陣営が
微妙な協力関係の上に成り立っています。


アサド政権と距離を置く
米国側陣営では
パリ同時多発テロ以降、
フランスは原子力空母を派遣するなど、
約3,500名を投入。


英国も空爆を開始しました。


ドイツも後方支援のため、
軍艦や空中給油機など
約1,200名の人員を派遣する予定です。


アサド政権に近い
ロシア側陣営は
イランの軍事顧問団が
イラクやシリアに合計2,800名派遣され、
軍事訓練などの支援を行っています。


なおロシアは、
11月16日以降、
一日当たり143回もの空爆を行っています。


シリア・イラク情勢は、
対テロ、対過激派という共通目的の下、
各国の思惑や利害が渦巻く、
複雑な様相を見せています。


国防議連では、
今後も日本の防衛に絡む諸問題を深堀し、
防衛政策の改善に向けて動いていきます。




佐藤学校仮入校