9月14日(月)、
平和安全法制に関する特別委員会において質問に立ちました。
今日は、質問時間だけで35分間頂きました。


冒頭、
茨城県、栃木県、宮城県を中心に発生した
豪雨による災害にあわれた方々に、
心からのお悔やみとお見舞いを申し上げました。


現在進行形で、
災害派遣中の自衛隊。


既に多くの方を救出していますが、
そんな自衛隊も法律がなければ1ミリも動けません。


阪神淡路大震災の際、
知事からの災害派遣要請が遅れ、
人命救助などに支障が出たことは周知の出来事です。


その教訓を踏まえ、
政府は災害対策基本法を改正し
被災地域の市町村長が、
都道府県知事に災害派遣の要求をできるようにしました。


都道府県の機能が麻痺しても
対応できる状態にしたのです。


また併せて、
自衛隊による自主派遣の要件も整備しました。


そうした法整備を進め、
「みちのくアラート」のような事前訓練に励んだ結果、
東日本大震災において自衛隊は
幾多の不幸な状況の中、
多くの方を救出することができました。


隊員のいのちを守るうえでも
事前の準備や訓練は重要です。


その事前準備などで苦労したのが、イラク派遣でした。


イラク派遣に対応できる一般法を整えていない日本は、
特別措置法によって対応しました。


しかし、特別措置法では、
事態が起き、
法律が成立した後でなければ
対応ができません。


本来、自衛隊などを派遣するには
現場のニーズなどを把握し、
計画を策定するために、
情報収集や調整が必要です。


一般法がないと
法的根拠がないため
平素から情報収集や調整を行うことができないのです。


こうした状況が起きたのは
イラク派遣の時だけではありません。


湾岸戦争後、
ペルシャ湾に掃海部隊を派遣した時も同様でした。


当時の部隊指揮官はこう指摘します。


「国際貢献は早い者勝ち」


活動区域などについて
事前の調整を迅速に開始できなかった結果、
日本が任されたのは
条件の厳しい区域でした。


隊員の負担は相当なもの。
これは隊員の安全にも直結します。


「憂いあれども備えなし」


そうした状況を排するために、
備えたる法案を事前に作成し、
リードタイムをもって平素から備え、
国民のリスクを下げ、
自衛官のリスクも極限する。


安全保障環境が大きく変化今、
こうした取り組みが、
今、求められているのです。


これこそが、
今国会で、平和安全法制関連法案を審議している
本質です。


それでは安全保障環境はどう変わったのでしょうか。

佐藤は9月3日に北京で行われた
中国の軍事パレードを紹介しました。


今回中国は、
40種類を超える陸上装備に
20種類を超える航空機を登場させました。


例えば、
日本を射程に収める巡航ミサイルに、
島嶼部への対処能力を向上させた水陸両用戦闘車。


航続距離を増し、多様性を増した無人機に、
能力が向上した早期警戒機。


多くのミサイルを搭載できる戦略爆撃機も登場しました。


今回登場した装備の8割以上は、
中国の国産兵器とのこと。


25年間、
軍事費を増やし続けてきた中国は、
確実に軍事技術を発展させています。


技術だけではなく、
具体的な動きも活発化しています。


例えば近年、
中国の海空軍は
沖ノ鳥島付近での訓練を実施するようになりました。


海洋権益を確保しつつ
自国の安全を確保するため、
中国は確実に、
第1列島線(日本列島、南西諸島、台湾、フィリピン)から、
第2列島線(小笠原諸島、マリアナ諸島)へと
進出しているのです。


そこで問題になるのが、
小笠原諸島です。


昨年の冬、
小笠原諸島の父島沖には、
一時200隻もの中国のサンゴ船が押し寄せました。


1隻に10人乗っていたとしたら
合わせて2000人の中国人が
父島を取り囲んだことになります。


これは、小笠原村の人口を超える数です。

こうした経験をした
国境離島にある小笠原村議会は
9月9日に、
「今国会で平和安全法制の成立を求める意見書」を
決議しました。


しかし、そんな小笠原諸島は
実は日本の防空識別圏外にあり、
地上レーダーでは十分監視できない状態にあります。


しかも、小笠原諸島には、
飛行場や大型巡視船に給油できる施設もないため、
陸上・海上の警察力を強化することも
ままなりません。


懸案は小笠原諸島だけではありません。


中国海軍は
兵員募集用の広報動画に
尖閣諸島を登場させました。


そして、テロップを示して、こう訴えています。


「わずかな辺境領土であっても 彼らの占領を許してはたおけない」


中国は
歴史的にも国際法的にも、
疑いなく我が国固有の領土である尖閣諸島を
自らの領土だと主張し、
日本が「占領」しているのだと訴え、
そして、兵員を募集しているのです。


中国が尖閣諸島を
軍事目標としていることは
この動画からも推察することができます。


これが現実なのです。


何かが起きてから法律をつくるのでは遅すぎます。


だからこそ、
事態が起きる前に法律を作り、
法的根拠を整え、
情報共有し、
訓練充実させ、
体制整備する必要があります。




平和安全法制を整備すれば
日米同盟も一層強化され、
抑止力が高まります。


例えば、
日米は平素から、「同盟調整メカニズム」を通じて、
必要な情報などを共有できるようになります。


警戒・監視を含め、
平素から、お互いに装備品を守り合うことも可能になります。


さらに、
平時においても物品や役務を提供することができるようになります。


これらは

沖縄や岩国などに所在する在日米軍のプレゼンスともあいまって
「動的抑止」として機能することになります。


このように、法整備によって抑止力が高まることは明らかです。


しかし、
これまで示したような、
安全保障の観点だけではなく、
法的安定性を保つ上でも、
法的観点からも平和安全法制をとらえることも忘れはなりません。


平和安全法制は、
明確に、憲法の範囲内です。


司法の判断を決する最高裁。


その最高裁が示した、
自衛権に関する唯一の判例が
昭和34年の砂川判決です。


砂川判決では、
国民の平和的生存権を守り、
自国の存立を全うするための「自衛の措置」は
「合憲」としています。


その上で、
昭和47年の政府見解では、
「自衛の措置」は無制限でなく、
「必要最小限度の範囲」
としています。


平和安全法制関連法案では、
砂川判決と昭和47年の政府見解を踏まえ(当てはめ)
「無限定」な集団的自衛権は
憲法上許されないとしています。


これは、従来と全く変わりありません。


その上で、

科学技術の進化や安全保障環境の変化、
そして、2014年の閣議決定を踏まえ、

「自国防衛目的以外の」
集団的自衛権は憲法上許されないと
解釈しました。


つまり、
「自国防衛」に限り、
集団的自衛権を行使できるようにしたのです。


もちろん、
実際に行使するにあたっては、
いわゆる「新三要件」を満たさなければなりません。


これが確固たる歯止めの一つです。


ここで大事なのは、
個別的自衛権と集団的自衛権は
概念として重なることはない
ということです。


行使する自衛権が
個別的自衛権に当たるのか、
集団的自衛権に当たるのかを決めるのは、
「自国に対する武力攻撃の発生」の有無です。


いかなる状況であれ、
日本に対する武力攻撃が発生していない状況において
武力を行使することは、
国際法上、
「集団的自衛権」の行使に当たります。


集団的自衛権に該当するものを、
個別的自衛権や警察権を拡大解釈して対応することこそ
危険なことであり、あってはなりません。


集団的自衛権に関する議論をすると、
一部に、限定的な集団的自衛権の行使容認は、
安倍総理が祖父である岸元総理の意向を踏まえ行ったものだ
とする趣旨の批判を耳にします。


そんなことはありません。


安全保障法制の見直しに関する議論は、
民主党政権時代も含め、長きにわたって続けてきたものです。


事実、周辺事態法の見直しを提起されたのは、
民主党政権の時でした。


民主党は
過去のリーダーたちが
集団的自衛権を容認することの必要性を示す
見解を示しておきながら、
今回、対案すら出しませんでした。


極めて残念なことです。


政党たるもの、
対案となる法案を出し、
立法府である国会において議論し、
接点を見出す努力をすべきです。


質疑の最後にあたり、
佐藤は安倍総理に、
平和安全法制関連法案にかける思いを問いました。


総理は、

「国民のいのち守るために、必要な自衛の措置とは何かを考え抜く責任がある」

と指摘し、

「決めるべきときにはしっかり結論を出す」

と固い覚悟を、力強く述べました。


「決めるときには決める」


佐藤もそうした覚悟で、
最後まで真摯に、
そして真剣に、
委員会の審議に臨みます。