7月2日(木)、国防部会勉強会を開催しました。本日のテーマは「宇宙」と「サイバー空間」です。


宇宙・サイバーは、新しいガイドラインの中でもその協力が明記されており、近年、日米の間で急速に協力が進んでいる分野です。もちろん、防衛省だけの問題ではありません。政府全体として、協力を進めています。


宇宙空間に関する協力ですが、日米は「宇宙状況監視」や「脅威情報の共有」などを、防衛省・自衛隊も含め政府全体で取り組んでいます。一つの大きなテーマは「宇宙ゴミ(スペースデブリ)」。例えば2007年、中国が衛星破壊実験を行った結果、大量の破片が地球の周りに拡散しました。宇宙ゴミは新幹線の100倍という速さで地球を回っているため、数十cmの宇宙ゴミが衝突するだけで衛星にとっては致命的な損傷になります。日米では、そうした宇宙ゴミというリスクに備えるため、「宇宙状況監視(SSA)」に関する協力を進めていきます。日本としては、SSAシステムの整備に来年度から着手する予定です。


協力を進めようとすると必要になるのは、人材と窓口。例えば人材については、防衛省は平成23年度から米空軍宇宙業務課程に職員を派遣して技能の習得に努めています。一方、窓口については大きな問題があります。自衛隊には、宇宙政策に専従する部隊がないのです。米軍には戦略軍の中に宇宙を所掌する部門がありますが、カウンターパートがいないとなると、協力関係を深めるにも限界があります。


サイバー空間に関する協力ですが、日米は「ネットワーク監視」や「重要インフラの防護」などを、防衛省・自衛隊も含め政府全体で取り組んでいます。日米サイバー防衛協力における重点取組分野の一つは「任務保証」。自衛隊及び在日米軍の任務の継続性を確保する(=任務保証)ためには、基地と連接する電力や港湾、物流など、重要インフラの抗たん性を確保することも必要です。サイバー攻撃の手法などが巧妙化する中、今後は関係省庁・事業者等との協力が益々重要になってきます。防衛省・自衛隊も、日米サイバー防衛政策ワーキンググループ(CDPWG)などの枠組みも活用しながら、必要な情報やノウハウの取得に努めていくことになります。


さて、「日米関係」をテーマにした、全5回の国防部会勉強会も、今回で最終回。国防部会長として、一人でも多くの方に少しでも国の守りについて理解と関心を持って頂くべく、これからも工夫と努力を続けていきます。




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