参議院決算委員会で「外交青書と防衛白書の発行要領」「離島災害対処の在り方」を中心に質問を行い、その改善について議論を交わしました。


●「外交青書と防衛白書」について


・佐藤(質問)
「外交青書」と「防衛白書」は、我が国の安全保障政策を発信する上で、重要なツールであり、外交青書は日本語版で1,124冊、防衛白書は17,500冊発行している。防衛省においては都道府県をはじめ自治体にも配布、説明している。
また、海外広報を視野に入れた英語版の刊行物は、外交青書は概要版のみ、防衛白書は4カ国(英語、ロシア語、中国語、韓国語)の言語で概要版を発行している。
市販の値段についても、外交青書が1,995円、防衛白書が1,200円と、同規模の情報量を持ち合わせた書籍でありながら圧倒的に防衛白書の方が安い。という状況である。
外交青書は閣議用、市販用と別に入札にかけているとのことだが、入札を分割する理由、値段が防衛白書より高い理由は何か。


・岸田外務大臣(答弁)
外交青書の目的は、国際情勢・日本外交の現状を国民に知らせる書籍である。外国語訳は海外広報として重要な位置づけとなっている。
また、外務省はODA白書なども出版物として配布しており、積極的な広報活動を行っている。しかし、ご指摘の通り刊行物の配布量も外交青書は防衛白書と比べて劣っており、外務省としては今まで以上に配布する努力は必要と考えている。
また、値段の違いとしては、防衛省は入札時に金額での上限を設けているが、外務省は設けていない。更には、外交青書は確認版と市販版の内容が違っているが、防衛省は「確認・広報・市販」全て刊行物内容が一緒であり、それがコスト削減に繋がり、外交青書以上に刊行物を発行することが出来ていると考えられる。
しかし、今回のご指摘を受けて、入札に関する環境改善に積極的に取り組んで行きたい。


●「離島災害対処」について(主な質問)

・佐藤(質問)
平成25年10月16日に伊豆大島にて大規模な災害が発生しました。
離島での災害派遣において、重要なことは迅速な救助隊派遣、物資の輸送であり、それが人命救助や被災地復興の鍵となる。
伊豆大島の災害では、現場に最初に入れたヘリは、被災地から比較的近くの木更津・第1 ヘリ団のCH-47やUH-1では無く、北宇都宮駐屯地のUH-60JAでありました。それは何故か。


・防衛省運用企画局長(答弁)
伊豆大島の行方不明者救助を最優先とし、当時の現場の状況を考え多目的用途のUH-60JAを利用した災害派遣活動を行った。


・佐藤(意見)
UH-60シリーズが風に対して非常に強く、有用である。しかし、現在は全国4カ所にしか配備されていない。
また、離島においては、災害派遣だけでは無く国民保護、離島防衛の観点からもUH-60シリーズの配備を早急に進めていく必要があると考える。


・中谷防衛大臣(答弁)
UH-60シリーズの配備推進について、陸海空それぞれの装備品を統合運用し、災害派遣、離島防衛、国民保護の体制強化を行う必要がある。今後、その為の中長期的な目標を立てていく。


・佐藤(質問)
震災後、人命救助にとって大事な72時間。しかし災害発生当初の10月16,17日において救援物資を運ぶ際、C-130輸送機を利用していない。輸送力を考えたらC-130輸送機を使うべきと考えるが、なぜC-130より小さいC-1輸送機を利用したのか。


・中谷防衛大臣(答弁)
滑走路の耐久性、長さなどの確認の必要性から、当初はC-1輸送機を利用した。耐久性の確認が出来た後に、C-130を運用した。
自衛隊としては、装備品を最大限活用、陸海空を最大限活用し災害対策に取り組む。
また、C-1輸送機の代替え案として、挙げられているオスプレイ運用は輸送能力の観点から難しいと考えられる。災害救助含め、離島地域において物資輸送、運用については長期的な課題として解決策を探していく。


・佐藤(意見)
大島での教訓は重要である。離島は1500m未満の滑走路が多く存在する。そんな物理的状況を踏まえた上で、平素から民間輸送との連携を図りつつ統合輸送を行うべき。
滑走路が整備されていない地域については国交省と連携して早急な輸送体制の確立を行う必要がある。
また輸送体制の確立においては港も重要な拠点であり、離島で海上自衛隊の輸送艦が接岸できる港があれば、人命救助がスムーズに進み、指摘の通り効果的な輸送が実現する。
しかし、沖縄県周辺の離島においては、輸送艦が接岸できる港が少なく、また種子島にも輸送艦が接岸できる港が存在しない。統合機動力を活かすには港の活用が重要であり、国交省との連携も重要である。宜しくお願いしたい。


佐藤学校仮入校